抗告許可の申立てをする者が、抗告許可申立書を提出すべき裁判所が原裁判所であることを認識しながら不当な目的をもってあえて最高裁判所に抗告許可申立書を提出した場合には、最高裁判所は、抗告許可の申立てを原裁判所に移送することなく不適法として却下することができる
判旨
抗告許可申立人が原裁判所に申立書を提出すべきことを認識しながら、不当な目的をもってあえて最高裁判所に提出した場合には、最高裁判所は移送することなく不適法として却下できる。
問題の所在(論点)
抗告許可申立書が本来の提出先(原裁判所)ではなく最高裁判所に直接提出された場合、最高裁判所はこれを原裁判所に移送することなく、直ちに不適法として却下することができるか。
規範
民訴法337条の許可抗告制度において、抗告許可申立書は原裁判所に提出しなければならない(同法337条6項、313条、286条1項)。申立人がこの規定を認識しながら、不当な目的をもってあえて最高裁判所に提出した場合は、許可抗告制度を殊更に逸脱する意図による不適法な申立てといえ、保護の必要性がないため、最高裁判所は原裁判所へ移送することなく直ちに却下することができる。
重要事実
申立人は弁護士を代理人として選任し、最高裁判所に抗告許可申立書を提出した。本件申立書には、以前にも同様の申立てをして移送された事案が複数ある旨の記載があった。さらに、申立人は特定の地方裁判所への移送を希望し、管轄の高等裁判所管内への移送を拒絶する旨を明記していた。
あてはめ
申立人は弁護士を代理人としており、過去の経験からも原裁判所へ提出すべきことを十分認識していたといえる。その上で、特定の裁判所への移送を希望し、特定の裁判所への移送を拒絶する旨を述べていることは、法規に反することを認識しながら自らの希望を通そうとする不当な目的がある。したがって、許可抗告制度を逸脱する意図をもってあえて不適法な申立てを選択したものと評価される。
事件番号: 昭和28(ク)262 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特別に認めた場合に限られ、民事事件においては、原決定の憲法適合性に関する判断の不当を理由とするもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所への抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における…
結論
本件申立ては不適法であり、原裁判所に移送することを要せず、却下する。
実務上の射程
手続的信義則や濫用的申立ての排除という観点から、明白な管轄違いを承知で提出された申立ての処理指針を示す。実務上、制度の趣旨を逸脱した不当な目的が認定される場合には、移送による救済措置をとる必要がないことを明確にしたものである。
事件番号: 昭和29(ク)184 / 裁判年月日: 昭和29年8月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告の申立ては、上告の例に従い、原裁判所である高等裁判所に抗告状を提出して行わなければならない。 第1 事案の概要:抗告人は、福岡高等裁判所が下した訴状却下命令に対する抗告棄却決定を不服とし、最高裁判所に対して抗告状(書面上の題名は「上告状」)を提出した。しかし、当該抗告状は…
事件番号: 昭和28(ク)287 / 裁判年月日: 昭和28年12月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が下した決定に対しては、さらに抗告を申し立てることは法的に許されない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所のなした決定に対してさらに抗告を申し立てた事案である。判決文からは、元の決定の内容や抗告の具体的な理由は不明である。 第2 問題の所在(論点):最高裁判所のなした決定に対し、さら…
事件番号: 平成20(許)21 / 裁判年月日: 平成20年7月18日 / 結論: 破棄自判
地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起され,被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合において,同申立てを却下する旨の判断は,民訴法16条2項の規定の趣旨にかんがみ,広く当該事件の事案の内容に照らして地方裁判所における審理及び裁判が相当であるかどうかという観点からされるべきであり,地方裁判…
事件番号: 昭和30(ク)1 / 裁判年月日: 昭和30年1月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告(特別抗告)の申立ては、管轄裁判所ではなく原裁判所に提出すべきであり、誤って上告裁判所に提出された場合は、適切な裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、東京高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和30年1月11日に最高裁判所へ直接抗告…