判旨
最高裁判所に対する特別抗告の申立ては、上告の例に従い、原裁判所である高等裁判所に抗告状を提出して行わなければならない。
問題の所在(論点)
特別抗告の申立てをするにあたり、抗告状を提出すべき場所(管轄裁判所)はどこか。また、誤って最高裁判所に直接提出された場合の処理はどうあるべきか。
規範
最高裁判所への特別抗告(民事訴訟法旧419条の2、現336条)の提起手続については、上告の規定が準用される(旧419条の3、現336条2項)。したがって、抗告状は、上告提起の例に倣い、不服の対象たる決定をした原裁判所に提出しなければならない。
重要事実
抗告人は、福岡高等裁判所が下した訴状却下命令に対する抗告棄却決定を不服とし、最高裁判所に対して抗告状(書面上の題名は「上告状」)を提出した。しかし、当該抗告状は、本来提出すべき原裁判所(福岡高等裁判所)ではなく、直接最高裁判所に提出されていた。
あてはめ
本件抗告状は最高裁判所に提出されているが、旧民事訴訟法419条の2、419条の3、409条の2第1項、409条の3、397条の各規定(現在の民事訴訟法336条2項、314条1項等に相当)を総合すると、抗告状は原裁判所に提出すべきものである。もっとも、直接上訴裁判所に提出されたことをもって直ちに不適法として却下するのではなく、適法な受理手続を経るため、管轄を有する原裁判所に移送するのが相当である。
結論
特別抗告の抗告状は原裁判所に提出すべきであり、最高裁判所に直接提出された本件については、原裁判所である福岡高等裁判所に移送する。
実務上の射程
上訴提起における「原裁判所主義」を徹底した判断である。実務上、上訴(上告・特別抗告)の申立書を誤って上訴裁判所に提出した場合、不適法却下ではなく移送の処理がなされることの根拠となる。
事件番号: 昭和29(ク)201 / 裁判年月日: 昭和29年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上訴提起は、法律の規定に基づき、その判断を仰ぐべき裁判所の原裁判所に対してなされるべきであり、提出先を誤った場合は正当な提出先へ移送されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が下した訴状却下命令に対する抗告棄却決定を不服として、最高裁判所に直接抗告状を提出した。 第2 問題の所…
事件番号: 昭和29(ク)131 / 裁判年月日: 昭和29年5月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】地方裁判所の訴状却下命令に対する抗告棄却決定に対して更になされた抗告は、最高裁判所ではなく管轄権を有する高等裁判所に移送されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人らは、神戸地方裁判所による訴状却下命令に対する抗告事件について、同裁判所が下した抗告棄却の決定に対し、最高裁判所に更なる抗告を申し立て…
事件番号: 昭和29(ク)180 / 裁判年月日: 昭和29年9月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告(特別抗告)の提起は、法律の規定により原裁判所に抗告状を提出すべきものであり、上告裁判所に直接提出された場合には、適法な提起場所である原裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、広島高等裁判所が下した強制執行停止の仮処分決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和2…
事件番号: 昭和33(ク)33 / 裁判年月日: 昭和33年2月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告事件について管轄権がないと認める場合には、民事訴訟法等の規定に従い、管轄権を有する裁判所(本件では東京高等裁判所)に事件を移送しなければならない。 第1 事案の概要:上告人から最高裁判所に対し、上告状が提出されたが、当該事件の審理・裁判について最高裁判所が管轄権を有していないと判…
事件番号: 昭和28(ク)47 / 裁判年月日: 昭和29年3月5日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】地方裁判所がなした訴状却下命令に対する抗告は、最高裁判所ではなく管轄権を有する高等裁判所に属するため、管轄違いの場合は移送されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、神戸地方裁判所姫路支部がなした訴状却下命令を不服として、最高裁判所に対し抗告の申立てを行った。しかし、当該却下命令は地方裁判所に…