判旨
上告(特別抗告)の提起は、法律の規定により原裁判所に抗告状を提出すべきものであり、上告裁判所に直接提出された場合には、適法な提起場所である原裁判所へ移送すべきである。
問題の所在(論点)
上告(または特別抗告)の提起において、抗告状を提出すべき裁判所(提出先)を誤り、直接上告裁判所に提出した場合の処置が問題となる。
規範
民事訴訟法(旧法)の規定によれば、抗告状は原裁判所に提出すべきものと定められている。管轄違いの裁判所に書類が提出された場合、裁判所は移送の法理に基づき、適切な管轄裁判所へ事件を送致すべきである。
重要事実
抗告人は、広島高等裁判所が下した強制執行停止の仮処分決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和29年7月13日に最高裁判所へ直接抗告状を提出した。しかし、当時の民事訴訟法上の規定では、当該抗告状は最高裁判所ではなく、原裁判所である広島高等裁判所に提出すべきものであった。
あてはめ
本件において、抗告人は抗告状を最高裁判所に提出している。しかし、民事訴訟法419条の2、3、409条の2第1項、409条の3、397条(旧法)の規定を参照すると、抗告状は原裁判所に提出すべきものであることが明らかである。最高裁判所は直接の受理権限を持たないが、提出された抗告状の形式的効力を直ちに否定するのではなく、法定の提出先である原裁判所へ移送するのが相当であると解される。
結論
本件抗告状の提出先は広島高等裁判所であるべきであるから、最高裁判所は本件を広島高等裁判所に移送する。
実務上の射程
訴状や控訴状、上告状などの申立書類を提出先誤りで受理した場合の処理として、移送(あるいは回送)の手続をとるべき実務上の指針となる。特に、出訴期間や不服申立期間の遵守が問題となる場面において、誤った裁判所への提出がどのような効力を持つかを検討する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和29(ク)184 / 裁判年月日: 昭和29年8月25日 / 結論: その他
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事件番号: 昭和29(ク)201 / 裁判年月日: 昭和29年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上訴提起は、法律の規定に基づき、その判断を仰ぐべき裁判所の原裁判所に対してなされるべきであり、提出先を誤った場合は正当な提出先へ移送されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が下した訴状却下命令に対する抗告棄却決定を不服として、最高裁判所に直接抗告状を提出した。 第2 問題の所…
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【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書は、当時の民事訴訟法の規定に従い、最高裁判所ではなく原裁判所に提出すべきである。誤って最高裁判所に提出された抗告状については、同裁判所がこれを受理せず、原裁判所に移送するのが相当である。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が昭和29年8月18日に行った訴訟移送の決定に対し、…
事件番号: 昭和29(ク)158 / 裁判年月日: 昭和29年8月5日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告または許可抗告の申立ては、管轄違いにより原裁判所に提出すべきものであり、最高裁判所に直接提出された場合には、管轄権を有する原裁判所に移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、広島高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告事件の決定に対し、不服を申し立てるべく最高裁判…