判旨
特別抗告の申立書は、当時の民事訴訟法の規定に従い、最高裁判所ではなく原裁判所に提出すべきである。誤って最高裁判所に提出された抗告状については、同裁判所がこれを受理せず、原裁判所に移送するのが相当である。
問題の所在(論点)
大阪高等裁判所の決定に対する特別抗告(当時の民事訴訟法419条の2等)を提起する場合、抗告状はどの裁判所に提出すべきか、また誤って提出された場合の処置はどうあるべきか。
規範
特別抗告の提起は、民事訴訟法(昭和29年改正前)の規定によれば、上告の例に従い、不服の対象たる裁判をした原裁判所に抗告状を提出することによって行う。誤った裁判所に提出された場合は、裁判所法または民事訴訟法の規定に基づき、管轄権を有する裁判所に移送すべきである。
重要事実
抗告人は、大阪高等裁判所が昭和29年8月18日に行った訴訟移送の決定に対し、不服を申し立てるため、最高裁判所に直接抗告状を提出した。しかし、当時の法制下では、最高裁判所に直接抗告状を提出する手続は認められていなかった。
あてはめ
本件抗告状は、旧民事訴訟法419条の2、409条の2第1項等の規定に基づき、上告の手続を準用して原裁判所である大阪高等裁判所に提出すべきものである。最高裁判所に直接提出された本件抗告状は提出先を誤った不適法なものであるが、直ちに却下するのではなく、適法な提出先である大阪高等裁判所に移送するのが法文の趣旨に合致する。
結論
本件抗告状は大阪高等裁判所に提出すべきものであるため、本件を同裁判所に移送する。
実務上の射程
現行民事訴訟法においても、特別抗告や許可抗告の申立ては原裁判所に提出すべきことが明記されており(327条2項、330条、336条2項)、提出先を誤った場合の移送処理という実務上の運用を裏付ける判例として機能する。
事件番号: 昭和29(ク)158 / 裁判年月日: 昭和29年8月5日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告または許可抗告の申立ては、管轄違いにより原裁判所に提出すべきものであり、最高裁判所に直接提出された場合には、管轄権を有する原裁判所に移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、広島高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告事件の決定に対し、不服を申し立てるべく最高裁判…
事件番号: 昭和30(ク)1 / 裁判年月日: 昭和30年1月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告(特別抗告)の申立ては、管轄裁判所ではなく原裁判所に提出すべきであり、誤って上告裁判所に提出された場合は、適切な裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、東京高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和30年1月11日に最高裁判所へ直接抗告…
事件番号: 昭和29(ク)180 / 裁判年月日: 昭和29年9月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告(特別抗告)の提起は、法律の規定により原裁判所に抗告状を提出すべきものであり、上告裁判所に直接提出された場合には、適法な提起場所である原裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、広島高等裁判所が下した強制執行停止の仮処分決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和2…
事件番号: 昭和30(ク)96 / 裁判年月日: 昭和30年6月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】特別抗告や再審の申立てについて、本来提出すべき原裁判所ではなく最高裁判所に申立書が提出された場合、当該申立てを適法なものとして扱うため、最高裁判所は管轄権を有する原裁判所に事件を移送すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、東京高裁が下した建物収去命令等に対する特別抗告(2件)および強制執行停止…
事件番号: 昭和29(ク)201 / 裁判年月日: 昭和29年10月20日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上訴提起は、法律の規定に基づき、その判断を仰ぐべき裁判所の原裁判所に対してなされるべきであり、提出先を誤った場合は正当な提出先へ移送されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が下した訴状却下命令に対する抗告棄却決定を不服として、最高裁判所に直接抗告状を提出した。 第2 問題の所…