判旨
特別抗告や再審の申立てについて、本来提出すべき原裁判所ではなく最高裁判所に申立書が提出された場合、当該申立てを適法なものとして扱うため、最高裁判所は管轄権を有する原裁判所に事件を移送すべきである。
問題の所在(論点)
特別抗告や再審の申立書が、法定された提出先である原裁判所ではなく、上訴裁判所(最高裁判所)に直接提出された場合、当該裁判所はどのような措置をとるべきか。
規範
申立書が管轄権のない裁判所に提出された場合、申立人の権利保護および手続の円滑な進行の観点から、裁判所は当該申立てを直ちに不適法として却下するのではなく、管轄権を有する適切な裁判所に移送すべきである(民事訴訟法上の移送の法理の適用)。
重要事実
申立人は、東京高裁が下した建物収去命令等に対する特別抗告(2件)および強制執行停止申立事件の却下決定に対する再審申立て(1件)を行った。しかし、これらの申立書は、本来法的に提出すべき窓口である原裁判所(東京高裁)ではなく、直接最高裁判所に提出された。
あてはめ
本件における特別抗告および再審の申立ては、いずれも原裁判所に提出すべき書面によってなされる必要がある。申立人が誤って最高裁判所にこれらを提出した事実は認められるものの、これをもって直ちに申立てを無効とするのは申立人の利益を不当に害する。したがって、受理した最高裁判所としては、本来の提出先であり管轄を有する東京高等裁判所に本件各申立を移送するのが相当である。
結論
本件各申立てを、管轄裁判所である東京高等裁判所に移送する。
実務上の射程
本決定は、提出先を誤った申立書について裁判所が移送によって救済する実務上の運用を認めたものである。答案上は、手続的瑕疵(提出先の誤り)が決定的な不利益(却下)に繋がらないよう、民訴法上の移送の法理を類推ないし適用する際の根拠として活用できる。ただし、提出期間の遵守(原裁判所への到達時点)については本判決文からは不明であるため注意を要する。
事件番号: 昭和30(ク)1 / 裁判年月日: 昭和30年1月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告(特別抗告)の申立ては、管轄裁判所ではなく原裁判所に提出すべきであり、誤って上告裁判所に提出された場合は、適切な裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、東京高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和30年1月11日に最高裁判所へ直接抗告…
事件番号: 昭和29(ク)184 / 裁判年月日: 昭和29年8月25日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告の申立ては、上告の例に従い、原裁判所である高等裁判所に抗告状を提出して行わなければならない。 第1 事案の概要:抗告人は、福岡高等裁判所が下した訴状却下命令に対する抗告棄却決定を不服とし、最高裁判所に対して抗告状(書面上の題名は「上告状」)を提出した。しかし、当該抗告状は…
事件番号: 昭和29(ク)192 / 裁判年月日: 昭和29年9月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書は、当時の民事訴訟法の規定に従い、最高裁判所ではなく原裁判所に提出すべきである。誤って最高裁判所に提出された抗告状については、同裁判所がこれを受理せず、原裁判所に移送するのが相当である。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が昭和29年8月18日に行った訴訟移送の決定に対し、…
事件番号: 昭和29(ク)180 / 裁判年月日: 昭和29年9月7日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告(特別抗告)の提起は、法律の規定により原裁判所に抗告状を提出すべきものであり、上告裁判所に直接提出された場合には、適法な提起場所である原裁判所へ移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、広島高等裁判所が下した強制執行停止の仮処分決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和2…
事件番号: 昭和30(ク)112 / 裁判年月日: 昭和30年7月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】再抗告(特別抗告を含む)が管轄違いの裁判所に提出された場合、裁判所は移送の規定に基づき、適法な管轄権を有する裁判所に事件を移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、福岡地方裁判所が行った裁判所書記官補に対する忌避申立却下決定への抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため最高裁判所に抗告状を提出…