判旨
上告(特別抗告)の申立ては、管轄裁判所ではなく原裁判所に提出すべきであり、誤って上告裁判所に提出された場合は、適切な裁判所へ移送すべきである。
問題の所在(論点)
上告(特別抗告)の申立書を、提出先である原裁判所ではなく誤って最高裁判所に提出した場合の取扱いが問題となる。
規範
上告(又は特別抗告)の申立ては、民事訴訟法の規定に基づき、上告裁判所ではなく原裁判所に提出しなければならない。誤った裁判所に提出された申立書については、裁判所法及び民事訴訟法の規定に照らし、管轄権を有する適切な裁判所へ移送することができる。
重要事実
抗告人は、東京高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため、昭和30年1月11日に最高裁判所へ直接抗告状を提出した。
あてはめ
本件において抗告状は、旧民事訴訟法419条の2、419条の3、409条の3、397条の各規定により、原裁判所である東京高等裁判所に提出すべきものである。しかし、抗告人は誤って最高裁判所にこれを提出したため、最高裁判所は本件を管轄の原裁判所へ移送することが相当であると判断される。
結論
本件抗告申立てを管轄裁判所である東京高等裁判所に移送する。
実務上の射程
上告等の申立先を誤った場合でも、直ちに不適法として却下するのではなく、移送によって救済を図る実務上の運用を認めたものである。現在の民事訴訟法下においても、上告提起(314条1項)等の手続において同様の法理が妥当する。
事件番号: 昭和29(ク)158 / 裁判年月日: 昭和29年8月5日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告または許可抗告の申立ては、管轄違いにより原裁判所に提出すべきものであり、最高裁判所に直接提出された場合には、管轄権を有する原裁判所に移送すべきである。 第1 事案の概要:抗告人は、広島高等裁判所が下した競落許可決定に対する抗告事件の決定に対し、不服を申し立てるべく最高裁判…
事件番号: 昭和30(ク)225 / 裁判年月日: 昭和31年1月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限定される。民事事件においては、旧民事訴訟法419条の2(現行の特別抗告等)に定められた場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、民事事件に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件に…
事件番号: 昭和28(ク)276 / 裁判年月日: 昭和28年12月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法第419条の2(現行第336条)に定められた憲法解釈の誤り等を理由とする特別抗告に限定され、民訴法第413条(現行第330条)の再抗告の規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案である。しかし、その抗告理由は、原決定…
事件番号: 昭和29(ク)192 / 裁判年月日: 昭和29年9月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】特別抗告の申立書は、当時の民事訴訟法の規定に従い、最高裁判所ではなく原裁判所に提出すべきである。誤って最高裁判所に提出された抗告状については、同裁判所がこれを受理せず、原裁判所に移送するのが相当である。 第1 事案の概要:抗告人は、大阪高等裁判所が昭和29年8月18日に行った訴訟移送の決定に対し、…
事件番号: 昭和32(ク)190 / 裁判年月日: 昭和32年9月26日 / 結論: 却下
競落許可決定の言渡前になされた競落許可決定に対する抗告の申立は不敵法であつて、たとえそれが不適法として却下されない間に、抗告をなした者に不利益な決定が告知されても、右抗告申立は適法とはならないものと解すべきである。