競落許可決定の言渡前になされた競落許可決定に対する抗告の申立は不敵法であつて、たとえそれが不適法として却下されない間に、抗告をなした者に不利益な決定が告知されても、右抗告申立は適法とはならないものと解すべきである。
競落許可決定の言渡前になされた抗告申立の適否
競売法32条,民訴法680条,民訴法415条
判旨
決定の言渡し前になされた抗告の申立ては不適法であり、たとえ不適法として却下されない間に抗告人に不利益な決定が告知されたとしても、当該申立てが適法になることはない。
問題の所在(論点)
決定の言渡し前になされた抗告の申立ての適法性、および当該申立て後に決定が告知されたことによって不適法な申立てが適法に転ずるか(追完・治癒の成否)。
規範
裁判に対する不服申立ては、原則として対象となる裁判が成立していることを前提とする。したがって、決定の言渡し前になされた抗告の申立ては時期に遅れたものではなく、時期を失したものとして不適法であり、その後の決定の告知という事後的な事情によっても、その瑕疵が治癒されることはない。
重要事実
抗告人は、競落許可決定が言い渡されるよりも前の段階で、当該決定に対する抗告を申し立てた。その後、実際に抗告人にとって不利益な内容となる競落許可決定が告知されたが、原審は、告知前の抗告申立ては不適法であると判断した。これに対し、抗告人は当該判断が憲法に違反する等と主張して最高裁判所に抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和32(ク)192 / 裁判年月日: 昭和32年10月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に定められた特別抗告の場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告人は憲法違反を名目に掲げているが、その実質的な内容は原決定の手続違反を主張する…
あてはめ
本件において、抗告人が抗告を申し立てた時点では、未だ対象となる競落許可決定の言渡しがなされていなかった。このような「決定前の申立て」は、不服申立ての対象が確定していない段階での行為であり、手続上の適法性を欠く。たとえその後に抗告人に不利益な決定が告知されたとしても、申立て時点での不適法性が事後的に治癒されると解すべき特段の事情は認められない。したがって、本件抗告申立ては不適法として却下されるべきである。
結論
競落許可決定の言渡し前になされた抗告の申立ては不適法であり、その後の決定告知によっても適法とはならないため、本件抗告を却下する。
実務上の射程
裁判の成立・告知を待たずになされたフライングの不服申立てを厳格に排除する射程を持つ。民事訴訟法上の抗告全般に妥当する判断であり、答案上は不服申立ての適法要件(対象の存在)を論ずる際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(ク)78 / 裁判年月日: 昭和32年6月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、ある民事事件に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた。しかし、当該抗告は当時の民事訴訟法419条の2が定める特別の申立事由を備えていなかった。 第2 問題…
事件番号: 昭和30(ク)225 / 裁判年月日: 昭和31年1月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限定される。民事事件においては、旧民事訴訟法419条の2(現行の特別抗告等)に定められた場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、民事事件に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件に…
事件番号: 昭和41(ク)444 / 裁判年月日: 昭和42年2月3日 / 結論: 棄却
民訴法第四一九条ノ二第一項は憲法第三二条に違反しない。
事件番号: 昭和31(ク)253 / 裁判年月日: 昭和31年10月25日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への抗告が認められるのは法律が特に許容する場合に限られ、憲法違反を理由とする場合であっても、原審が認定していない事実を前提とする主張は、適法な違憲の主張とはいえず不適法である。 第1 事案の概要:本件において抗告人は、競売手続における執行吏の行為が憲法に違反する旨を主張して抗告した。しか…