民訴法第四一九条ノ二第一項は憲法第三二条に違反しない。
民訴法第四一九条ノ二第一項の合憲性
憲法32条,民訴法419条ノ2第1項
判旨
最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事訴訟法(現行民訴法336条)等の規定により特に許された場合に限られ、単なる原決定の違法主張は特別抗告の事由に該当しない。また、民事訴訟法における抗告制限の規定は憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 単なる原決定の違法主張が最高裁判所への抗告理由となるか。2. 民事訴訟における最高裁判所への抗告を制限する規定は、憲法32条に違反するか。
規範
最高裁判所に対する抗告(特別抗告)は、憲法違反や判例違反など、法が限定的に定めた事由(旧民訴法419条の2、現行336条1項)がある場合にのみ認められる。単なる法令違背や事実誤認の主張は、適法な抗告理由を構成しない。
重要事実
抗告人は、原決定に違憲があるとして最高裁判所に抗告を申し立てた。しかし、その主張の実質は原決定の違法(不当性)をいうものであった。また、抗告人は最高裁判所への抗告制限を定めた当時の民訴法419条の2第1項が憲法32条(裁判を受ける権利)に違反すると主張した。
事件番号: 昭和32(ク)192 / 裁判年月日: 昭和32年10月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に定められた特別抗告の場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告人は憲法違反を名目に掲げているが、その実質的な内容は原決定の手続違反を主張する…
あてはめ
抗告人の主張する第一点は、形式上は違憲を謳うものの、実質的には原決定の違法を指摘するに留まり、法定の抗告事由に該当しない。第二点のうち憲法32条違反をいう部分は、抗告制限規定を合憲とする確立した判例(昭和22年、昭和24年、昭和37年等の先例)に反する主張である。その他の主張も単なる法令違背の指摘であり、特別抗告の理由とは認められない。
結論
本件抗告は法定の理由を欠くため棄却される。民訴法の抗告制限規定は憲法に違反しない。
実務上の射程
特別抗告の事由が「憲法の解釈の誤りその他憲法の違反」または「判例との相反」に限定されることを確認する実務上の基本判例。単なる「法令違背」を「憲法違反」と称して主張しても排斥されるという、抗告理由の厳格な峻別を示す。答案上は、上訴制限の合憲性を論じる際の先例として引用可能。
事件番号: 昭和34(ク)27 / 裁判年月日: 昭和34年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許容された場合に限られ、旧民訴法419条の2(現行民訴法336条1項に相当)に規定される憲法違反等の事由がない限り、抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原審の裁判について違憲を主張するとともに、その他の法令…
事件番号: 昭和38(ク)423 / 裁判年月日: 昭和38年11月21日 / 結論: 却下
特別抗告制度が違憲であるとの主張は、特別抗告適法の理由にならない(昭和二七年一〇月一五日大法廷決定、民集六巻九号八二七頁参照)。
事件番号: 昭和31(ク)47 / 裁判年月日: 昭和31年3月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告を特別抗告のみに限定することは立法政策の問題であり、憲法32条に違反しない。また、審級制度の構成は憲法81条の場合を除き立法府の裁量に委ねられている。 第1 事案の概要:抗告人らが、高等裁判所のなした決定に対し最高裁判所に抗告を申し立てた事案。抗告人は憲法違反を主張の根拠とし…
事件番号: 昭和29(ク)44 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当性に限定される。実質的に憲法違反を主張せず、単にその旨を称するにすぎない抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。その際、…