特別抗告制度が違憲であるとの主張は、特別抗告適法の理由にならない(昭和二七年一〇月一五日大法廷決定、民集六巻九号八二七頁参照)。
特別抗告制度が違憲であるとの主張は特別抗告理由になるか。
民訴法419条の2
判旨
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、民事訴訟法上の特別抗告(現行民訴法336条)等の規定により特に許された場合に限定される。憲法違反を主張しても、その実質が単なる法令違反にすぎない場合は適法な抗告理由にあたらない。
問題の所在(論点)
民事事件において最高裁判所が抗告裁判権を有するための要件、および憲法違反を名目とした単なる法令違反の主張が特別抗告の適法な理由(民事訴訟法419条の2、現行336条1項)に該当するか。
規範
最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を持つのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。具体的には、原審の裁判に憲法の解釈の誤りその他の憲法違反があることを理由とする特別抗告(現行民訴法336条1項)等に限られ、実質的に単なる法令違反を主張するものはこれに含まれない。
重要事実
抗告人は、下級審の裁判に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。その理由として、特別抗告制度自体が憲法に違反する旨の主張、およびその他の憲法違反の主張を含んでいた。しかし、後者の主張については、形式的には憲法違反を掲げているものの、その実態は原審の法令適用や事実認定の不当を訴える「単なる法令違反」の主張であった。
事件番号: 昭和32(ク)78 / 裁判年月日: 昭和32年6月11日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告が許容されている場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、ある民事事件に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた。しかし、当該抗告は当時の民事訴訟法419条の2が定める特別の申立事由を備えていなかった。 第2 問題…
あてはめ
最高裁判所の抗告裁判権は限定的であり、適法な抗告理由が必要である。本件において、特別抗告制度が違憲であるとの主張は、先例(昭和27年大法廷決定)に照らし適法な理由とはいえない。また、その他の論旨についても、憲法違反を標榜してはいるが、その実質は単なる法令違反の主張にすぎない。したがって、これらは特別抗告の要件を満たす憲法違反の主張とは評価できない。
結論
本件抗告は適法な理由を欠く不適法なものとして、却下されるべきである。
実務上の射程
特別抗告の理由を「憲法違反」に限定する民訴法の枠組みを確認した判例である。司法試験においては、上訴の制限や最高裁判所の権限に関する論点において、単なる法令違反を憲法違反と強弁しても上訴理由にならないことを示す際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和28(ク)236 / 裁判年月日: 昭和28年12月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、その理由は憲法判断の不当をいうもの(特別抗告)に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して民事事件の決定に対する抗告を申し立てた事案。抗告人は、旧民訴法413条(許可抗告等に関連する規定)が適…
事件番号: 昭和28(ク)276 / 裁判年月日: 昭和28年12月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法第419条の2(現行第336条)に定められた憲法解釈の誤り等を理由とする特別抗告に限定され、民訴法第413条(現行第330条)の再抗告の規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案である。しかし、その抗告理由は、原決定…
事件番号: 昭和32(ク)192 / 裁判年月日: 昭和32年10月8日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に定められた特別抗告の場合に限られる。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して最高裁判所に抗告を申し立てた。抗告人は憲法違反を名目に掲げているが、その実質的な内容は原決定の手続違反を主張する…
事件番号: 昭和38(ク)12 / 裁判年月日: 昭和39年1月28日 / 結論: 却下
競売手続においての利害関係人を定める民訴法第六四八条の規定は、憲法第三二条所定の裁判を受ける権利があるかどうかとはなんら関係がない。