判旨
再抗告(特別抗告を含む)が管轄違いの裁判所に提出された場合、裁判所は移送の規定に基づき、適法な管轄権を有する裁判所に事件を移送すべきである。
問題の所在(論点)
本来であれば下級裁判所(高等裁判所)が管轄すべき再抗告事件について、誤って最高裁判所に直接抗告状が提出された場合、最高裁判所はどのような措置を講じるべきか。
規範
再抗告(民事訴訟法330条、旧413条)において、管轄違いの裁判所に抗告状が提出された場合には、裁判所法16条2号等の管轄規定および民事訴訟法の移送規定を準用・適用し、適法な管轄裁判所へ事件を移送する措置を講じるべきである。
重要事実
抗告人は、福岡地方裁判所が行った裁判所書記官補に対する忌避申立却下決定への抗告棄却決定に対し、不服を申し立てるため最高裁判所に抗告状を提出した。しかし、当該不服申立ては性質上、福岡高等裁判所に管轄がある再抗告(旧民訴法413条)に該当するものであり、かつ抗告状は原裁判所に提出すべきものであった。
あてはめ
本件抗告の趣旨は、旧民事訴訟法413条に基づく再抗告と認められる。裁判所法16条2号によれば、高等裁判所は地裁の決定等に対する抗告事件を管轄するため、本件の管轄は福岡高等裁判所に属する。また、抗告状は原裁判所に提出すべきものである(旧397条1項)。したがって、受訴した最高裁判所は自ら判断を下すのではなく、管轄権を有する裁判所へ繋ぐべく、原裁判所である福岡地方裁判所に事件を移送するのが相当である。
結論
本件を管轄違いと判断し、管轄権を有する裁判所に対応させるため、原裁判所である福岡地方裁判所に移送する。
実務上の射程
事件番号: 昭和31(ク)111 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては旧民訴法419条の2(現行民訴法336条)に規定する特別抗告の場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判官の忌避の原因につき疎明がないとした原審の判断を不服として、最高裁判所に抗告を申し立て…
管轄を誤って上訴(特に抗告・再抗告)がなされた場合における裁判所の移送義務を確認する判例である。司法試験においては、不適法却下ではなく移送によって救済されるべき場面(民事訴訟法16条参照)の解釈として活用できる。
事件番号: 昭和29(ク)131 / 裁判年月日: 昭和29年5月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】地方裁判所の訴状却下命令に対する抗告棄却決定に対して更になされた抗告は、最高裁判所ではなく管轄権を有する高等裁判所に移送されるべきである。 第1 事案の概要:抗告人らは、神戸地方裁判所による訴状却下命令に対する抗告事件について、同裁判所が下した抗告棄却の決定に対し、最高裁判所に更なる抗告を申し立て…
事件番号: 昭和31(ク)112 / 裁判年月日: 昭和31年5月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に許された場合に限られ、民事事件では民事訴訟法旧419条の2(現行336条)所定の抗告に限られる。抗告理由に「違憲」の文言があっても、その実質が事実認定の不当を争うものである場合は、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は…
事件番号: 昭和28(ク)179 / 裁判年月日: 昭和28年9月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告申立てが許容されている場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等は、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。当該申立ては、抗告申立書の記載自体から、民事訴訟法(旧法)413条に基づくものであることが明らかであった。 第…
事件番号: 昭和30(ク)96 / 裁判年月日: 昭和30年6月22日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】特別抗告や再審の申立てについて、本来提出すべき原裁判所ではなく最高裁判所に申立書が提出された場合、当該申立てを適法なものとして扱うため、最高裁判所は管轄権を有する原裁判所に事件を移送すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、東京高裁が下した建物収去命令等に対する特別抗告(2件)および強制執行停止…