国家公務員宿舎の住戸について国有財産法に基づく使用許可を受けた県が、同使用許可に基づく使用収益権を保全するため、同住戸の占有者に対する国の所有権に基づく建物明渡請求権を代位行使して、同占有者に対して同住戸の明渡しを求めることができるとした原審の結論が是認された事例
判旨
福島第一原発事故の区域外避難者に対し、国から使用許可を受けた自治体が、明渡請求権を代位行使することは、セーフティネット契約締結の見込みが潰えた等の事情があれば、権利の濫用等に当たらず適法である。
問題の所在(論点)
1. 国から使用許可を受けた自治体が、国に代わって建物明渡請求を代位行使することの可否(保全の必要性)。2. 応急仮設住宅の供与終了を定めた自治体の判断が、裁量権の範囲を逸脱・濫用した違法なものとして、占有権原の有無や権利の濫用に影響するか。
規範
1. 債権者代位権(民法423条1項)の行使にあたり、不動産賃借人と同様、国有財産の使用許可を受けた者も、その使用収益権を保全する必要があるときは、所有者たる国の有する妨害排除請求権を代位行使し得る。2. 行政庁の判断が裁量権の範囲を逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)したか否かは、当該判断の基礎となった事実関係、考慮すべき事項の正当性、および社会通念に照らし著しく妥当性を欠くか否かにより判断される。
重要事実
福島第一原発事故の避難者(上告人)に対し、福島県(被上告人)は東京都を通じて国家公務員宿舎を応急仮設住宅として無償供与した。その後、福島県は区域外避難者への無償供与終了を判断(本件判断)し、住宅確保支援策としてセーフティネット契約(有料貸付)への移行を提示した。しかし、上告人は契約締結に応じず、供与期間終了後も当該住戸の占有を継続。福島県は国から当該住戸の使用許可を受け、国に代わって所有権に基づく建物明渡請求を代位行使した。
あてはめ
1. 被上告人は国から本件建物の使用許可を受けており、その使用収益権を確保するため、不法占有者に対し国の明渡請求権を代位行使する保全の必要性が認められる。2. 本件判断は、震災から相当期間が経過し除染や住宅整備が進んだ状況、国の同意取得の困難性、代替支援策(家賃補助や専用枠設置)の用意を考慮したものであり、社会通念上著しく妥当性を欠くとはいえない。3. 上告人はセーフティネット契約の案内に応じず、調停も不調に終わるなど、契約締結の見込みが潰えており、相当期間の経過も踏まえると、被上告人による請求は権利の濫用にも当たらない。
事件番号: 昭和46(オ)540 / 裁判年月日: 昭和47年6月15日 / 結論: 破棄差戻
家屋賃貸人甲が、賃借人乙から丙への家屋の一部の無断転貸を理由に賃貸借契約を解除し、その後右家産を丙に譲渡した場合において、丙が、転借後約三年間転借部分を占有使用して、転貸借による利益を享受していた者であり、しかも、転借に際し、転貸についての家主の了解を丙みずから求めてもよい旨を乙に申し出ていながら、その後承諾を得るため…
結論
被上告人(福島県)による債権者代位権に基づく建物明渡請求は認められる。上告人の占有権原は認められず、本件判断に裁量権の逸脱・濫用はない。
実務上の射程
行政財産の使用許可に基づく利用権であっても、私法上の賃借権に準じて債権者代位権の行使が認められることを確認した。また、原発事故避難者に対する支援打ち切りの政策的判断について、代替措置の存否等を考慮要素として、行政の広範な裁量を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和41(オ)215 / 裁判年月日: 昭和41年6月24日 / 結論: 棄却
土地の不法占拠により土地所有者の蒙る損害額を、右土地を他に賃貸することにより通常得べかりし賃料相当額にあたる、と判断した点に違法はない。
事件番号: 昭和28(オ)246 / 裁判年月日: 昭和28年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利の行使が権利濫用に該当するか否かは、当該権利行使の目的、態様、およびその行使によって得られる利益と失われる利益との権衡を総合的に考慮して判断される。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人による本訴請求(詳細な請求内容は判決文からは不明)に対し、当該請求が権利の濫用に該当すると主張して争った。原…
事件番号: 平成29(受)491 / 裁判年月日: 平成29年12月21日 / 結論: 棄却
改良住宅の入居者が死亡した場合において,その死亡時に当該入居者と同居していた者で,市長の承認を受けて同居している者等に限り,市長の承認を受けて引き続き当該改良住宅に居住することができる旨を定める京都市市営住宅条例(平成9年京都市条例第1号)24条1項は,住宅地区改良法29条1項,公営住宅法48条に違反し違法,無効である…
事件番号: 平成19(受)102 / 裁判年月日: 平成21年1月19日 / 結論: その他
ビルの店舗部分を賃借してカラオケ店を営業していた賃借人が,同店舗部分に発生した浸水事故に係る賃貸人の修繕義務の不履行により,同店舗部分で営業することができず,営業利益相当の損害を被った場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,遅くとも賃貸人に対し損害賠償を求める本件訴えが提起された時点においては,賃借人…