1 消費者が液化石油ガスの供給等に関する契約を終了させる場合に消費設備に係る配管の設置費用等に関して所定の金額を液化石油ガス販売事業者に支払う旨を定めた条項が、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの)9条1号にいう 「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に当たるとされた事例 2 消費者が液化石油ガスの供給等に関する契約を終了させる場合に消費設備に係る配管の設置費用等に関して所定の金額を液化石油ガス販売事業者に支払う旨を定めた条項が、消費者契約法(令和4年法律第59号による改正前のもの)9条1号により無効となるとされた事例
判旨
LPガス販売事業者が、住宅購入者との供給契約において、短期間での解約時に設備設置費用の未回収分(本件算定額)を支払わせる条項は、消費者契約法9条1号の「違約金等条項」に当たる。当該費用が契約者全体のガス料金から回収される仕組みである場合、個別解約に伴う「平均的な損害」は存しないため、同条項は全部無効となる。
問題の所在(論点)
LPガスの供給契約を中途解約する際に設備費用の精算を求める条項が、消費者契約法9条1号にいう「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項」に当たるか。また、同条項が定める額が「平均的な損害」を超えるものとして無効となるか。
規範
1. 消費者契約の解除に伴い、消費者に一定の金銭支払義務を課す条項が、供給契約を長期間維持し、先行投資された費用の損失補てんを目的とするなど、実質的に損害賠償の予定又は違約金として機能する場合、消費者契約法9条1号の「違約金等条項」に当たる。 2. 同号の「平均的な損害」とは、同種の契約が解除されることにより、事業者に一般的・客観的に生ずると認められる損害をいう。事業者が自由に料金を設定でき、特定の契約者の設備費用未回収分を他の契約者全体の料金で補てん・回収する仕組みを構築している場合には、個別の解約によって事業者に損害が生じたとはいえない。
重要事実
LPガス販売業者(被上告人)は、戸建て住宅(本件住宅)の建設時に配管等の設備を無償で設置し、その費用(本件設置費用)を販売会社に請求しなかった。本件住宅を購入した消費者(上告人)は、被上告人とガス供給契約を締結した。同契約には「10年未満で解約する場合、経過期間に応じて本件設置費用の未回収分(算定額)を支払う」旨の条項(本件条項)があった。しかし、契約上、設置費用とガス料金の関係は不明確であり、10年経過後もガス料金が減額される定めはなかった。上告人が約2年で他社に切り替えたため、被上告人が本件条項に基づき算定額の支払を求めた。
あてはめ
1. 本件条項は、短期間の解約を防止し契約を維持することや、先行投資された設置費用の損失補てんを目的としており、実質的に違約金として機能するため、同法9条1号の条項に当たる。 2. 平均的な損害について、被上告人は自由な料金設定が可能であり、設置費用とガス料金の関係を不明確にすることで、個別の設備費用を契約者全体のガス料金から回収する仕組みを構築していたといえる。この場合、一部の契約者が解約しても、その負担を他の契約者に転嫁することが可能である。したがって、本件契約の解除によって被上告人に一般的・客観的な損害が生じたとは認められず、平均的な損害は「存しない」と評価される。
結論
本件条項は、消費者契約法9条1号により、その全部が無効となる。したがって、被上告人の支払請求は認められない。
実務上の射程
いわゆる「無償配管」の商慣行に基づく精算条項を否定した。ただし、補足意見によれば、令和7年施行の改正規則等に基づき、基本料金・従量料金と設備費用を明確に区分して請求する「三部料金制」を採用している場合には、本判決の射程は及ばない可能性がある点に留意すべきである。
事件番号: 平成17(受)1930 / 裁判年月日: 平成19年4月3日 / 結論: 棄却
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