特定商取引に関する法律41条1項1号所定の特定継続的役務提供契約に該当する外国語会話教室の受講契約中に,受講者が受講開始後に契約を解除した際の受講料の清算について定める約定が存する場合において,(1)受講者は,契約の締結に当たり,登録するポイント数が多くなるほど安くなるポイント単価を定める料金規定に従い受講料をあらかじめ支払ってポイントを登録し,登録したポイントを使用して1ポイントにつき1回の授業を受けるものとされているところ,上記料金規定においては,登録ポイント数に応じて一つのポイント単価が定められており,受講者が提供を受ける各個別役務について異なった対価額が定められているわけではないこと,(2)上記約定の内容は,使用したポイント数に,上記料金規定に定める各登録ポイント数のうち使用したポイント数以下でそれに最も近いものに対応するポイント単価を乗ずるなどして,受講料から控除される使用済ポイントの対価額を算定する旨を定めるもので,上記約定に従って算定される使用済ポイントの対価額は,契約の締結に当たって登録されたポイント数に対応するポイント単価によって算定される使用済ポイントの対価額よりも常に高額となることなど判示の事情の下では,上記約定は,同法49条2項1号に定める額を超える額の金銭の支払を求めるものとして無効である。
外国語会話教室の受講契約の解除に伴う受講料の清算について定める約定が特定商取引に関する法律49条2項1号に定める額を超える額の金銭の支払を求めるものとして無効であるとされた事例
特定商取引に関する法律41条1項1号,特定商取引に関する法律49条1項,特定商取引に関する法律49条2項1号,民法420条
判旨
特定継続的役務提供契約において、中途解約時に清算される提供済役務の対価は、原則として契約締結時に定められた単価(契約時単価)に基づき算定される。契約時単価より高額な単価を用いる清算規定は、実質的に違約金として機能し、特定商取引法49条2項の制限を超える限度で無効となる。
問題の所在(論点)
特定継続的役務提供契約の中途解約における「提供された役務の対価に相当する額」(特定商取引法49条2項1号)の算定にあたり、契約時に合意された単価ではなく、解約時にのみ適用される割高な単価を用いる清算規定の有効性が問題となる。
規範
特定商取引法49条2項1号が、中途解約時の請求上限を「提供された役務の対価に相当する額(提供済役務対価相当額)」と法定限度額の合算に制限した趣旨は、役務受領者の自由な解除権を保障することにある。したがって、契約締結時に役務の対価として一律の単価(契約時単価)が定められている場合、提供済役務対価相当額は原則として当該単価により算定すべきである。解約時にのみ適用される高額な単価を定める規定は、実質的に損害賠償額の予定または違約金として機能し、同条の趣旨に反して解除権を制約するため、法定限度額を超える範囲で無効となる。
重要事実
外国語会話教室を経営する上告人は、契約時の登録ポイント数が多いほど単価が安くなる料金規定を設けていた。被上告人は600ポイント(単価1,200円)で契約したが、途中で386ポイントを消費した段階で中途解約した。本件契約の清算規定では、解約時の既消費分については「消費したポイント数以下で最も近い登録ポイント数の単価(本件では300ポイントの単価1,750円)」で算定し直す旨が定められていた。この規定を適用すると、契約時単価で算定した場合に比べ清算額が大幅に高額化する状況であった。
あてはめ
本件契約では、受講者が提供を受ける各個別役務の対価は、契約締結時に登録したポイント数に応じた「契約時単価(1,200円)」により一律に定められている。これに対し、本件清算規定が定める単価(1,750円)は契約時単価より常に高額となるものであり、解約時にのみ適用されるものである。このような清算規定は、実質的には損害賠償額の予定または違約金として機能しており、受講者による自由な解除権の行使を不当に制約するものといえる。したがって、提供済役務対価相当額は本件清算規定によらず、契約時単価によって算定されるべきである。
結論
本件清算規定は、特定商取引法49条2項1号に定める法定限度額を超える請求を認めるものとして無効である。よって、提供済役務対価相当額は契約時単価(1,200円)に基づき算定されるべきであり、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
役務提供者が、大量購入を条件とする割引価格を解約時に遡及的に否定し、少額購入時の単価を適用して清算金を高める手法を明確に否定した。答案上は、同法が消費者の解除権の保障を重視している点から、清算規定の「実質的な機能」を検討し、法定限度額(本件当時は5万円等)の潜脱を許さない規範として引用する。
事件番号: 令和6(受)204 / 裁判年月日: 令和7年12月23日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】LPガス販売事業者が、住宅購入者との供給契約において、短期間での解約時に設備設置費用の未回収分(本件算定額)を支払わせる条項は、消費者契約法9条1号の「違約金等条項」に当たる。当該費用が契約者全体のガス料金から回収される仕組みである場合、個別解約に伴う「平均的な損害」は存しないため、同条項は全部無…
事件番号: 平成17(受)957 / 裁判年月日: 平成19年6月11日 / 結論: 破棄差戻
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンを運営する甲とその加盟店の経営者である乙との間の加盟店基本契約の条項中に,乙は甲に対し加盟店経営に関する対価として「売上総利益(売上高から売上商品原価を差し引いたもの)」に一定の率を乗じた額を支払う旨の定めがある場合において,(1)「売上商品原価」という上記文言は,企業会…