昭和三六年八月二二日締結された自動車の割賦販売契約が、割賦代金の支払の遅滞があつて合意解除された場合に、何らの証拠も特段の事情も示すことなく、一般に、右契約には、売主が自動車の返還を受けて他に売却処分しその売却代金を残存の代金債務の弁済に充て売買契約関係を清算決済する旨の特約が付されるのが通常であり、本件の契約にも右と同趣旨の特約が付されていたと認めるのが相当であると判示したのみで、右特約を前提として、買主に判示の損害の賠償を命じたのは、審理不尽、理由不備の違法がある。
自動車の割賦販売契約が合意解除された場合に買主に損害の賠償を命じた判断に審理不尽理由不備の違法があるとされた事例
民法92条,民訴法185条
判旨
自動車の割賦販売契約が合意解除され、車両の返還による清算が行われる場合、売主の損害額の算定基準は、個別の契約内容や解除の合意、割賦条件等の具体的事情に基づき判断されるべきである。
問題の所在(論点)
割賦販売契約の合意解除に伴う清算において、特段の証拠がないままに「再売却代金と残代金の差額」を損害額と認定することが許されるか。
規範
割賦販売契約が合意解除され、返還された自動車を代金債務に充当して清算する場合、不足額を損害として賠償させるべきか、またその算定を(イ)返還時の相当価格とするか、(ロ)実際の再売却代金とするか等の基準は、当初の売買契約や解除の合意内容、割賦条件、代金支払状況等の諸事情を総合して決定される。
重要事実
買主は小型三輪自動車を割賦で購入したが、代金未払のまま売買契約が合意解除された。売主は車両の返還を受け、これを20万円で再売却したが、残代金との間に43万円の差額(損害)が生じたとして賠償を求めた。一審および原審は、一般的な割賦販売契約の特約の存在を前提に、再売却代金を基準とした損害賠償を認めた。
あてはめ
原審は、具体的な契約書等の証拠や特段の事情を示すことなく、一般論として「再売却代金を残代金に充当する」旨の特約があるものと推認して損害額を算定した。しかし、損害算定の基準は合意内容や支払状況によって異なり得る性質のものであり、証拠に基づかず安易に特定の清算方法を断定することは、審理不尽・理由不備の違法を免れない。
結論
原判決の損害賠償請求に関する部分は、事実認定の根拠を欠くため破棄を免れず、さらなる審理を尽くさせるため差し戻すべきである。
実務上の射程
契約解除に伴う損害賠償額の算定において、当然に「再売却実額」を基準にできるわけではないことを示す。答案上は、清算条項の解釈にあたり、実額基準と評価額基準のいずれが当事者の合理的意思に合致するかを検討する際の指針となる。
事件番号: 昭和31(オ)451 / 裁判年月日: 昭和32年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】経済統制法規に違反する給付がなされた場合であっても、その後に締結された金員返還契約は、特段の事情がない限り、当該法規違反の一事をもって無効とはならない。 第1 事案の概要:被上告人は塊炭の割当配給を受け、その処分権を有していた。被上告人は上告人とともに駅を訪れ、貨物係に対して塊炭一車分を上告人に引…