コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンを運営する甲とその加盟店の経営者である乙との間の加盟店基本契約の条項中に,乙は甲に対し加盟店経営に関する対価として「売上総利益(売上高から売上商品原価を差し引いたもの)」に一定の率を乗じた額を支払う旨の定めがある場合において,(1)「売上商品原価」という上記文言は,企業会計上一般に言われている売上原価を意味するものと即断することはできないこと,(2)本件契約書の付属明細書には廃棄ロス原価(消費期限間近などの理由により廃棄された商品の原価合計額)及び棚卸ロス原価(帳簿上の在庫商品の原価合計額と実在庫商品の原価合計額の差額であって,万引きや各店舗の従業員の商品等の入力ミスなどを原因として発生した金額)が営業費となることが定められ,甲の担当者は,上記契約が締結される前に,乙に対し,それらは営業費として加盟店経営者の負担であることを説明していたこと,(3)乙が上記契約締結前に甲から店舗の経営委託を受けていた期間中,当該店舗に備え付けられていた手引書の損益計算書についての項目には,「売上総利益」は売上高から「純売上原価」を差し引いたものであり,「純売上原価」は「総売上原価」から「仕入値引高」,「商品廃棄等」及び「棚卸増減」を差し引いて計算されることが記載されていたことなど判示の事情の下では,上記契約条項所定の「売上商品原価」は,実際に売り上げた商品の原価を意味し,廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価を含まないものと解されるから,これらは,乙が支払うべき加盟店経営に関する対価の上記算定に当たり,売上高から控除されない。 (補足意見がある。)
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ契約に加盟店は運営者に対し加盟店経営に関する対価として売上高から売上商品原価を控除した金額に一定の率を乗じた額を支払う旨の条項がある場合において消費期限間近などの理由により廃棄された商品の原価等は売上高から控除されないとされた事例
民法91条
判旨
契約条項の解釈にあたっては、文言の文理のみならず、他の条項との整合性や契約締結の経緯等の諸事情を総合的に考慮すべきである。本件の「売上商品原価」は、廃棄ロス原価等を含まない「実際に売り上げた商品の原価」を指すと解するのが相当であり、これを基礎としたチャージ算定は法律上の原因を欠かない。
問題の所在(論点)
本件契約上の「売上商品原価」に、廃棄ロス原価および棚卸ロス原価が含まれるか(=チャージ算定の基礎となる売上総利益からこれらを控除すべきか)。
規範
契約書の特定の条項の意味内容を解釈する場合、単に特定の文言の一般的定義に依拠するのではなく、①当該条項中の文言の文理、②他の条項との整合性、③当該契約の締結に至る経緯等の諸事情を総合的に考慮して判断すべきである。
事件番号: 平成17(受)1996 / 裁判年月日: 平成19年3月8日 / 結論: その他
法律上の原因なく代替性のある物を利得した受益者は,利得した物を第三者に売却処分した場合には,損失者に対し,原則として,売却代金相当額の金員の不当利得返還義務を負う。
重要事実
コンビニフランチャイズの加盟店(被上告人)が、本部(上告人)に対し、廃棄・棚卸ロス原価を売上総利益から控除せずにチャージ(対価)を算定・徴収したのは不当利得にあたると主張した。本件契約書では、チャージの基礎を「売上高から売上商品原価を差し引いた売上総利益」と規定していたが、加盟店側は、企業会計原則上の「売上原価」には廃棄ロス等が含まれるため、これらを控除すべきと解釈した。一方、本部は、契約締結前の説明会やマニュアルにおいて、廃棄ロス等が「営業費」として加盟店負担になることや、独自の損益計算方式(上告人方式)を詳細に説明していた。
あてはめ
①文理上、「売上商品原価」は実際に売り上げた商品の原価と解する余地がある。②他条項との整合性に関し、付属明細書で廃棄ロス等が「営業費」と定められていることは、これらが売上原価に含まれないとする上告人方式と整合する。③契約締結の経緯として、事前の説明会、面接、研修、および経営委託期間中の実績を通じて、上告人方式による会計処理の詳細(純売上原価の算出方法等)が示されており、被上告人もそれを前提に契約を締結したといえる。これらを総合すれば、本件の「売上商品原価」は廃棄ロス等を含まない趣旨と解される。
結論
本件条項は上告人方式によるチャージ算定を定めたものと解するのが相当であり、本部の利得に法律上の原因がないとはいえない。原判決を破棄し、錯誤無効の主張について審理させるため差し戻す。
実務上の射程
契約解釈における一般的規範を示したものであり、特に定型約款的なフランチャイズ契約において、契約書本旨の文言が不明確であっても、マニュアルや事前説明等の外部事情によってその内容が具体化・補完され得ることを認めた実務上重要な射程を持つ。
事件番号: 平成17(受)1344 / 裁判年月日: 平成18年1月23日 / 結論: 棄却
1 破産者は,破産手続中に自由財産の中から破産債権に対して任意の弁済をすることを妨げられない。 2 地方公務員共済組合の組合員の破産手続中にその自由財産である退職手当の中から地方公務員等共済組合法115条2項所定の方法により組合員の組合に対する貸付金債務についてされた弁済が,組合員による任意の弁済であるというためには,…
事件番号: 平成17(オ)886 / 裁判年月日: 平成18年11月27日 / 結論: 棄却
消費者契約法9条1号は,憲法29条に違反しない。
事件番号: 平成18(受)1666 / 裁判年月日: 平成19年7月17日 / 結論: その他
貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限を超える利息を受領したが,その受領につき貸金業の規制等に関する法律43条1項の適用が認められないときは,当該貸金業者は,同項の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り,民法704条の「悪意の受…
事件番号: 平成17(受)560 / 裁判年月日: 平成17年12月15日 / 結論: 棄却
1 貸金業者は,貸付けに係る契約の性質上,貸金業の規制等に関する法律17条1項に規定する書面に同項所定の事項について確定的な記載をすることが不可能な場合には,同書面に当該事項に準じた事項を記載すべきである。 2 貸金業者は,借主が借入限度額の範囲内であれば繰り返し借入れをすることができ,毎月定められた返済期日に最低返済…