土地上に設置されて以降移動されることなく、電気を電柱から電線で引き込んで倉庫として継続的に使用されていた奥行き約1240㎝、幅約240㎝、高さ約288㎝の大きさの鉄製のコンテナ倉庫は、刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)130条にいう「建造物」に当たる。
コンテナ倉庫が刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)130条にいう「建造物」に当たるとされた事例
刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)130条
判旨
コンテナ倉庫が土地に定着しているかは、移動の難易や使用の実態等に照らし、社会通念上土地に定着しているといえるかによって判断される。基礎の有無にかかわらず、長期間継続的に使用され移動が容易でない場合は、刑法130条の「建造物」に該当する。
問題の所在(論点)
基礎が打たれていない鉄製のコンテナ倉庫が、刑法130条の「建造物」の要件である土地への定着性を備えているといえるか。
規範
刑法130条(改正前も含む)にいう「建造物」とは、屋根及び周壁を有し、土地に定着して人が出入りできる程度の構造物をいう。土地への定着性の有無は、当該物の物理的な接続状況のみならず、その形態、設置期間、使用の実態等を総合考慮し、社会通念上土地に定着しているといえるか否かにより判断すべきである。
重要事実
被告人が侵入した本件コンテナ倉庫は、奥行約12.4m、幅約2.4m、高さ約2.88mの鉄製コンテナを土地上に設置したものであった。設置から3年10か月以上の間、一度も移動されることなく、電柱から電線を直接引き込んで電気を利用し、タイヤ等の保管場所として継続的に使用されていた。一方で、基礎は打たれておらず、土地に固定される等の工作はなされていなかった。
事件番号: 平成20(あ)835 / 裁判年月日: 平成21年7月13日 / 結論: 棄却
警察署庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し,みだりに立入りすることを禁止するために設置された高さ約2.4mの本件塀は,建造物侵入罪の客体に当たり,中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部に上がった行為は,建造物侵入罪を構成する。
あてはめ
本件コンテナ倉庫は、大型の鉄製構造物であり移動が容易ではない。また、電気が引き込まれ、3年10か月以上もの長期間にわたり同一の場所で倉庫として継続使用されている。これらの形態及び使用実態に照らせば、物理的な基礎が存在しないという事情があっても、社会通念上、土地に定着していると評価できる。したがって、土地への定着性を欠くとの主張は採用できない。
結論
本件コンテナ倉庫は刑法130条にいう「建造物」に当たり、建造物侵入罪が成立する。
実務上の射程
工作物としての「建造物」概念について、物理的な固着のみならず、設置の継続性や利用態様といった機能面・実態面を重視する判断枠組みを示した。プレハブ小屋やトレーラーハウス等の定着性が問題となる事案において、本決定の「形態および使用の実態に照らし、社会通念上土地に定着しているといえるか」という基準は汎用性が高い。
事件番号: 昭和49(あ)736 / 裁判年月日: 昭和51年3月4日 / 結論: 破棄差戻
国立大学の構内に在る附置研究所建物に接してその周辺に存在し、かつ、管理者が既存の門塀等の施設と新設の金網柵とを連結して完成した一連の囲障を設置することにより、建物の附属地として建物利用のために供されるものであることが明示された本件土地(判文参照)は、右金網柵が通常の門塀に準じ外部との交通を阻止しうる程度の構造を有するも…