警察署庁舎建物及び中庭への外部からの交通を制限し,みだりに立入りすることを禁止するために設置された高さ約2.4mの本件塀は,建造物侵入罪の客体に当たり,中庭に駐車された捜査車両を確認する目的で本件塀の上部に上がった行為は,建造物侵入罪を構成する。
警察署の塀の上部に上がった行為について建造物侵入罪の成立が認められた事例
刑法130条
判旨
警察署の敷地を囲む塀は、建物とその敷地を他から明確に画し、外部からの干渉を排除する作用を果たすものであり、刑法130条前段の「建造物」の一部を構成する。
問題の所在(論点)
警察署の敷地を囲むコンクリート製の塀が、刑法130条前段の「建造物」の客体に含まれるか、その判断基準が問題となる。
規範
刑法130条前段にいう「建造物」とは、建物本体のみならず、その建物に附属し、かつ建物利用のために供されている工作物をも包含する。特に、建物とその敷地を他から明確に画するとともに、外部からの干渉を排除する作用を果たしている囲障(塀等)は、建造物の一部を構成し、その客体に含まれると解すべきである。
重要事実
被告人は、大阪府八尾警察署の捜査車両の車種やナンバーを把握する目的で、同警察署の東側にある高さ約2.4m、幅約22cmのコンクリート製塀(本件塀)の上によじ登り、その上部に立った。当該警察署は、庁舎建物と本件塀等の囲障によって中庭が囲まれており、正面出入口以外は外部からの立入りが制限されていた。本件塀は、外部からの交通を制限し、みだりに立ち入ることを禁止するために設置されており、外側から内部を覗き見ることができない構造であった。
あてはめ
本件塀は、警察署の庁舎建物とその敷地を他から明確に画定している。また、高さ2.4mという構造や、外部からの交通制限・覗き見防止という目的から、外部からの干渉を排除する機能を現に果たしているといえる。したがって、本件塀は「正に本件庁舎建物の利用のために供されている工作物」であると評価でき、建造物の一部を構成する。被告人が捜査車両を確認する目的で塀の上部に上がった行為は、管理者の意思に反する立ち入りとして、建造物侵入罪を構成する。
結論
本件塀は「建造物」の一部を構成するため、その上部へ上がった行為について建造物侵入罪が成立する。
実務上の射程
本判決は、建造物の概念について「囲障」がその一部に含まれることを明示したものである。答案上は、建物本体への侵入がない場合でも、敷地を画する塀や門扉への登攀・損壊・通過がある場合には、本判決の理論を用いて「建造物の一部」への侵入として論じるべきである。
事件番号: 令和6(あ)585 / 裁判年月日: 令和7年10月21日 / 結論: 棄却
土地上に設置されて以降移動されることなく、電気を電柱から電線で引き込んで倉庫として継続的に使用されていた奥行き約1240㎝、幅約240㎝、高さ約288㎝の大きさの鉄製のコンテナ倉庫は、刑法(令和4年法律第67号による改正前のもの)130条にいう「建造物」に当たる。
事件番号: 平成18(あ)1605 / 裁判年月日: 平成19年4月13日 / 結論: 棄却
1 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用する意図のもとにこれを身体に装着してパチスロ機で遊戯する行為は,同機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えないものであっても,窃盗罪の実行行為に当たる。 2 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用す…