合議体の裁判官の1名が代わったが従前の口頭弁論の結果が陳述されないままされた原判決に民訴法312条2項1号に規定する事由が存在するとされた事例
判旨
裁判官が交代した際、従前の口頭弁論の結果を陳述することなく弁論を終結し、交代後の裁判官が判決に関与することは、民事訴訟法249条1項及び312条2項1号に違反する。
問題の所在(論点)
裁判官の交代があった場合に、従前の弁論結果の陳述が行われないまま弁論を終結し判決を下すことが、民事訴訟法249条1項及び312条2項1号に違反するか。
規範
民事訴訟法249条1項は「判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がしなければならない」と規定し、同条2項は裁判官の交代時に弁論の更新を要求している。また、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした場合は、絶対的上告理由(同法312条2項1号)に該当する。
重要事実
本件は年金額減額処分取消等請求事件の上告審である。原審(控訴審)の第1回及び第2回口頭弁論期日において控訴状の陳述等の実質的弁論が行われた後、第3回口頭弁論期日において合議体の裁判官1名が交代した。しかし、従前の口頭弁論の結果が陳述(弁論の更新)されないまま第4回口頭弁論期日で弁論が終結され、交代後の裁判官を含めて判決が言い渡された。
あてはめ
記録によれば、原審において実質的弁論が行われた後に裁判官が交代しているが、更新手続(従前の口頭弁論の結果の陳述)がなされていない。この状態で弁論を終結し判決を下したことは、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決に関与したことにほかならない。したがって、手続上の瑕疵は民事訴訟法249条1項に違反し、同法312条2項1号に該当する重大な違法があるといえる。
結論
事件番号: 令和4(行ツ)275 / 裁判年月日: 令和5年12月15日 / 結論: 棄却
国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち、国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置、平成25年度及び平成26年度における国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置の特例並びに平成25年度における厚生年金保険法による年金たる保険給付の額…
原判決を破棄し、本件を原審に差し戻す。上告裁判所は、本事由により原判決を破棄する場合、必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
実務上の射程
民事訴訟の基本原則である直接主義を担保する手続的規範を示すものである。答案上は、裁判所法や民訴法の訴訟手続の適法性が争われる場面で、直接主義(249条)の違反が絶対的上告理由(312条2項1号)に直結することを確認する文脈で使用する。
事件番号: 昭和33(オ)1072 / 裁判年月日: 昭和36年4月27日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭があったにもかかわらず弁論の更新がなされていない場合、当該判決は基本となる口頭弁論に関与しない裁判官が判決に関与したものとして、民事訴訟法の規定に違反し、破棄を免れない。 第1 事案の概要:原審における本件訴訟手続において、裁判官の更迭があった。しかし、訴訟記録上の口頭弁論調書を確認し…
事件番号: 昭和44(行ツ)8 / 裁判年月日: 昭和49年12月10日 / 結論: その他
一、教育委員会法のもとにおいて、教育委員会が秘密会で免職処分の議決をした場合に、右秘密会で審議する旨の議決に公開違反の瑕疵があつたとしても、同委員会においては、従来から人事案件はすべて秘密会で審議しており、各委員がこれを了知したうえ全員一致で秘密会で審議する旨を議決したものであつて、その議決を公開の会議で行うことが議決…