中途退職者に対し、法令上支給すべきでないにもかかわらず誤つて退職手当が支給されたときは、行政処分としての支給決定があるかどうかにかかわりなく、国家公務員等退職手当法附則一〇項の適用はないものと解すべきである。
違法な退職手当の支給と国家公務員等退職手当法附則一〇項の適用の有無
国家公務員等退職手当法附則10項,国家公務員等退職手当法施行令附則14項,国家公務員等退職手当法施行令附則15項,国家公務員等退職手当法施行令附則16項
判旨
国家公務員等退職手当法附則10項は、法令上の受給権があるにもかかわらず中途退職時に手当を受けた者との不均衡是正を趣旨とするため、支給準則に違反して誤って支給された場合には適用されない。
問題の所在(論点)
国家公務員等退職手当法附則10項にいう「退職手当の支給を受けた」場合とは、法令や支給準則に違反して誤って支給を受けた場合も含まれるか(同項の適用範囲)。
規範
国家公務員等退職手当法附則10項の規定は、中途退職者が当時の法令上退職手当の支給を受け得る場合であったために手当の支給を受けた結果、最終退職の際に在職期間が通算されず、通算される者との間に生じる著しい不均衡を是正することを目的とする。したがって、支給準則上支給すべきでないにもかかわらず、誤って退職手当が支給された場合には、同項の適用はないと解すべきである。
重要事実
上告人は、第一次退職時に当時の支給準則1条2項本文に違反して、本来支給されるべきではない退職手当を受領した。その後、第二次退職(最終退職)に際し、上告人は国家公務員等退職手当法附則10項に基づき、第一次・第二次の在職期間を通算した上での退職手当の差額支払を求めたが、第一次退職時の支給が「誤支給」であったことから、同項適用の可否が争われた。
あてはめ
本件における第一次退職手当の支給は、支給準則1条2項本文に違反しており、本来なされるべきではなかった。同法附則10項は、正当な受給権に基づいて支給を受けた者と通算受給者との不均衡是正を予定している。そうである以上、支給準則上支給すべきでないのに誤ってなされた支給については、同項の趣旨が妥当しないため、適用対象外と評価される。
結論
上告人の第二次退職につき、法附則10項の適用はない。もっとも、他の規定(法附則4項等)に基づき算出される正当な退職手当額と既払額との差額について、上告人の請求は認容されるべきである。
実務上の射程
法令等の解釈において、形式的な文言のみならず、規定の立法趣旨(本件では不均衡是正)に照らして適用範囲を限定する手法を示している。給付行政における誤支給が後続の算定規定に与える影響を検討する際の参考となる。
事件番号: 平成26(オ)77 / 裁判年月日: 平成27年12月14日 / 結論: 破棄自判
退職一時金に付加して返還すべき利子の利率の定めを政令に委任する国家公務員共済組合法(平成24年法律第63号による改正前のもの)附則12条の12第4項及び同条の経過措置を定める厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成8年法律第82号)附則30条1項は,憲法41条及び73条6号に違反しない。
事件番号: 令和7(行ツ)125 / 裁判年月日: 令和7年7月10日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】裁判官が交代した際、従前の口頭弁論の結果を陳述することなく弁論を終結し、交代後の裁判官が判決に関与することは、民事訴訟法249条1項及び312条2項1号に違反する。 第1 事案の概要:本件は年金額減額処分取消等請求事件の上告審である。原審(控訴審)の第1回及び第2回口頭弁論期日において控訴状の陳述…