国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち、国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置、平成25年度及び平成26年度における国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置の特例並びに平成25年度における厚生年金保険法による年金たる保険給付の額の計算に関する経過措置の特例について定める部分は、憲法25条、29条に違反しない。 (補足意見がある。)
国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち、国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置、平成25年度及び平成26年度における国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置の特例並びに平成25年度における厚生年金保険法による年金たる保険給付の額の計算に関する経過措置の特例について定める部分と憲法25条、29条
憲法25条、憲法29条、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条
判旨
年金受給額の特例水準を段階的に解消する平成24年改正法の規定は、世代間の公平や制度の持続可能性を確保する目的があり、立法府の裁量権を著しく合理性を欠く形で逸脱・濫用したものとはいえないため、憲法25条及び29条に違反しない。
問題の所在(論点)
年金額の特例水準を解消し、実質的に受給額を減額する立法措置が、憲法25条(生存権)及び29条(財産権)が許容する立法裁量の範囲内といえるか。
規範
社会保障制度の具体的立法措置の選択決定は、国の財政事情や高度の専門技術的な考察、政策的判断を必要とするため、立法府の広い裁量に委ねられる。裁判所による審査は、当該措置が著しく合理性を欠き、明らかに裁量権の範囲を逸脱・濫用したと認められる場合に限られる(昭和57年大法廷判決等の趣旨)。この基準は、給付額を減額する改定が憲法25条や29条に抵触するか否かの判断においても同様に適用される。
事件番号: 昭和54(行ツ)110 / 裁判年月日: 昭和57年12月17日 / 結論: 棄却
国民年金法二〇条の規定は、憲法一四条違反の問題を生じない。
重要事実
かつての物価下落時に、本来の物価スライド制であれば減額されるべき年金額を特例法で据え置いた結果、本来水準より高い「特例水準」が生じていた。平成24年改正法は、少子高齢化の進展や財政悪化を背景に、この特例水準を3年間で段階的に解消(減額)する措置(本件部分)を講じた。年金受給者らが、この減額改定は生存権等を侵害するとして取消しを求めた。
あてはめ
特例水準は当初から将来的な解消が予定されていた暫定的なものであった。賦課方式を基本とする年金制度において、特例水準の維持は現役世代に過度な負担を強いるとともに将来の財源を圧迫する。平成24年改正時は急速な少子高齢化が予測されており、世代間の公平を図り、年金制度の持続可能性と信頼を確保する必要性が高い。したがって、特例水準の一律解消という手段は制度目的との関係で不合理とはいえず、受給権に対する不当な制約にも当たらない。
結論
本件規定は立法府の裁量権の範囲内にあり、憲法25条、29条に違反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
社会保障給付の「不利益変更」に関する違憲審査基準を確認した事例。既存の「著しく合理性を欠き明らかに裁量逸脱・濫用」という低密度の審査基準を維持しており、受給権者側の「制度後退禁止原則」や「立法過程の合理性(判断過程審査)」の主張を退けている。年金等の定型的な金銭給付の減額については、依然として広範な立法裁量が認められる。
事件番号: 昭和51(行ツ)30 / 裁判年月日: 昭和57年7月7日 / 結論: 棄却
一 児童扶養手当法(昭和四八年法律第九三号による改正前のもの)四条三項三号は、憲法二五条に違反しない。 二 児童扶養手当法(昭和四八年法律第九三号による改正前のもの)四条三項三号は、憲法一四条、一三条に違反しない。
事件番号: 平成27(行ツ)375 / 裁判年月日: 平成29年3月21日 / 結論: 棄却
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分は,憲法14条1項に違反しない。
事件番号: 平成22(行ツ)392 / 裁判年月日: 平成24年2月28日 / 結論: 棄却
生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定は,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,その改定に係る厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえず,生活保護法3条又は8条2項の規定に違反しない。 (1)ア 上記改定開始の5年前には,…
事件番号: 平成17(行ツ)246 / 裁判年月日: 平成19年9月28日 / 結論: 棄却
1 (1)国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)が,同法7条1項1号イ(昭和60年法律第34号による改正前の国民年金法7条2項8号)所定の学生等につき,国民年金の強制加入による被保険者とせず,任意加入のみを認めることとし,これに伴い上記学生等を強制加入による被保険者との間で加入及び保険料納付義務の免除規定…