地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分は,憲法14条1項に違反しない。
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち死亡した職員の夫について一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分と憲法14条1項
憲法14条1項,地方公務員災害補償法32条1項,地方公務員災害補償法附則7条の2第2項
判旨
地方公務員災害補償法の遺族補償年金受給要件における男女間の差異は、当時の社会的状況に鑑み合理的な理由があるため、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
地方公務員災害補償法32条1項ただし書等が、遺族補償年金の受給要件に関し、妻については年齢を問わない一方で夫については一定の年齢に達していることを要件とする点が、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反するか。
規範
社会保障的性格を有する制度における差別的取扱いの合憲性は、その立法目的に合理的な根拠があり、かつ、その区別の態様が右目的との間で合理的関連性を有するか否かによって判断される。具体的には、対象者の置かれている社会的・経済的状況等の諸要素を考慮し、その区別が著しく不合理であることが明白でない限り、立法府の裁量を尊重すべきである。
重要事実
地方公務員であった妻が死亡し、その夫である上告人が遺族補償年金の支給を求めたが、当時の地方公務員災害補償法32条1項ただし書が、妻については年齢制限を設けない一方で、夫については「職員の死亡の当時55歳以上であること」等の年齢要件を課していたため、不支給処分を受けた事案。
あてはめ
遺族補償年金制度は憲法25条の趣旨に基づく社会保障的性格を有する。本件規定の当時、男女間には生産年齢人口に占める労働力人口の割合、平均賃金額、雇用形態に顕著な格差が存在していた。かかる社会的状況に鑑みれば、家計支持者たる配偶者を失った際の生活保障の必要性が妻においてより高いと判断し、妻にのみ年齢要件を課さないことは、立法当時の合理的理由を欠くものとはいえない。したがって、当該区別は立法府の合理的な裁量の範囲内にあると評価される。
結論
地方公務員災害補償法32条1項ただし書等の規定は、憲法14条1項に違反しない。
実務上の射程
社会保障法上の給付制限に関する憲法14条1項違反の主張に対し、立法当時の社会・経済状況を背景とした「合理的な理由」の有無を検討する際の枠組みとして活用する。本判決は堀木訴訟等の流れを汲み、立法府の広範な裁量を肯定する射程を有するが、社会状況の変化によっては将来的に「合理性の欠如」が認められ得る余地も示唆している。
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