1 立法府が,(1)国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)において,同法7条1項1号イ所定の学生等につき,国民年金の強制加入による被保険者とせず,任意加入のみを認めることとし,これに伴い上記学生等を強制加入による被保険者との間で加入及び保険料納付義務の免除規定の適用に関して区別したこと,及び(2)上記改正前において,上記学生等につき強制加入による被保険者とするなどの措置を講じなかったことは,憲法25条,14条1項に違反しない。 2 立法府が,平成元年法律第86号による国民年金法の改正前において,初診日に同改正前の同法7条1項1号イ所定の学生等であった障害者に対し,無拠出制の年金を支給する旨の規定を設けるなどの措置を講じなかったことは,憲法25条,14条1項に違反しない。 (1,2につき補足意見がある。)
1 立法府が,国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)において,同法所定の学生等につき国民年金の強制加入被保険者とせず,任意加入のみを認め,強制加入被保険者との間で加入及び保険料免除規定の適用に関し区別したこと,及び上記改正前に上記学生等を強制加入被保険者とするなどの措置を講じなかったことと憲法25条,14条1項 2 立法府が,平成元年法律第86号による国民年金法の改正前において,初診日に同改正前の同法所定の学生等であった障害者に対し,無拠出制の年金を支給する旨の規定を設けるなどの措置を講じなかったことと憲法25条,14条1項
(1,2につき)憲法14条1項,憲法25条,国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)7条1項1号イ,国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)附則5条1項1号,国民年金法(平成12年法律第18号による改正前のもの)90条,国民年金法(平成12年法律第18号による改正前のもの)附則5条10項,国民年金法30条1項,国民年金法89条 (2につき)国民年金法30条の4
判旨
国民年金法が20歳以上の学生を強制加入から除外し、任意加入のみ認めていたことは、立法府の広い裁量の範囲内であり、憲法25条及び14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
平成元年改正前の国民年金法が20歳以上の学生を強制加入から除外していたこと、及び20歳前障害者に類する無拠出制年金の措置を講じなかったことが、憲法25条、14条1項に違反するか。
規範
社会保障上の制度における立法措置の選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられており、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用とみざるを得ない場合を除き、裁判所の審査判断に適しない。受給者の範囲等の差別的取扱いが憲法14条に違反するかについても、合理的理由のない不当な差別といえない限り、同条違反とはならない。
事件番号: 平成17(行ツ)246 / 裁判年月日: 平成19年9月28日 / 結論: 棄却
1 (1)国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)が,同法7条1項1号イ(昭和60年法律第34号による改正前の国民年金法7条2項8号)所定の学生等につき,国民年金の強制加入による被保険者とせず,任意加入のみを認めることとし,これに伴い上記学生等を強制加入による被保険者との間で加入及び保険料納付義務の免除規定…
重要事実
平成元年改正前の国民年金法において、20歳以上の学生は強制加入被保険者から除外され、任意加入の対象とされていた。そのため、任意加入していない学生が障害を負った場合、初診日に被保険者でないことを理由に障害基礎年金が支給されなかった。他方、20歳未満の障害者には無拠出制の年金が支給されており、これらが学生とそれ以外の者、あるいは20歳前障害者との間で不当な差別にあたるとして争われた。
あてはめ
まず、学生は一般に収入がなく保険料負担能力に乏しい。また、世帯主に連帯納付義務がある中で強制加入とすれば世帯の経済的負担を増大させる。他方で学生の障害発生確率は低く、卒業後は就労により公的年金の保障を受ける機会もある。これに対し20歳前障害者は加入の機会自体がないのに対し、20歳以上の学生には任意加入の機会が付与されていた。これらを考慮すると、学生を任意加入とした立法措置が著しく合理性を欠くとはいえず、20歳前障害者との差異も合理的理由がある。
結論
平成元年改正前の国民年金法の規定及び立法不作為は、憲法25条、14条1項に違反しない。
実務上の射程
生存権(20歳前障害年金、老齢加算等)及び法の下の平等に関する違憲審査基準(広い立法裁量と「著しく合理性を欠くか」の基準)を論じる際のリーディングケース。社会保障分野における「給付の公平」よりも「制度の合理性」を重視するあてはめモデルとして活用する。
事件番号: 平成19(行ヒ)68 / 裁判年月日: 平成20年10月10日 / 結論: 破棄自判
統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において20歳未満であったことが,20歳に達した後の医師の事後的診断等により医学的に確認できた者であるからといって,その者が国民年金法30条の4にいう「その初診日において20歳未満であった者」との要件を満たすものと解することはできない。 (反対意見がある。)
事件番号: 昭和60(行ツ)92 / 裁判年月日: 平成元年3月2日 / 結論: 棄却
国民年金法(昭和五六年法律第八六号による改正前のもの)一八一条一項の障害福祉年金の支給について適用される同法五六条一項ただし書は、憲法二五条、一四条一項に違反しない。
事件番号: 平成10(行ツ)313 / 裁判年月日: 平成13年4月5日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)の締結後,いわゆる在日韓国人の軍人軍属に対して援護の措置を講ずることなく戦傷病者戦没者遺族等援護法附則2項を存置していたことは,憲法14条1項に違反するということはできない。 (補足意見がある。)
事件番号: 昭和54(行ツ)110 / 裁判年月日: 昭和57年12月17日 / 結論: 棄却
国民年金法二〇条の規定は、憲法一四条違反の問題を生じない。