一 児童扶養手当法(昭和四八年法律第九三号による改正前のもの)四条三項三号は、憲法二五条に違反しない。 二 児童扶養手当法(昭和四八年法律第九三号による改正前のもの)四条三項三号は、憲法一四条、一三条に違反しない。
一 児童扶養手当法(昭和四八年法律第九三号による改正前のもの)四条三項三号と憲法二五条 二 児童扶養手当法(昭和四八年法律第九三号による改正前のもの)四条三項三号と憲法一四条、一三条
児童扶養手当法(昭和48年法律第93号による改正前のもの)4条3項3号,憲法13条,憲法14条,憲法25条
判旨
憲法25条の具体化は立法府の広い裁量に委ねられており、社会保障給付の併給調整条項も、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえない場合を除き、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
社会保障法制における給付の併給調整条項が、憲法25条(生存権)および14条1項(平等原則)に違反するか。
規範
憲法25条は国の責務を宣言したものであり、個々の国民に具体的・現実的な権利を直接付与したものではない。その具体化にあたっては、国の財政事情、高度の専門技術的な考察、政策的判断を要するため、立法府に広い裁量が認められる。したがって、当該立法措置が「著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用」と認められる場合を除き、裁判所がその適否を審査判断するのに適さない。
重要事実
視力障害により障害福祉年金を受給していた上告人(X)は、離婚後、子を独力で養育していたため児童扶養手当の受給を請求した。しかし、当時の児童扶養手当法4条3項3号(併給調整条項)に基づき、公的年金受給者であることを理由に却下処分を受けた。Xは、当該条項が憲法25条、14条等に違反するとして処分の取消しを求めた。
事件番号: 令和6(行ツ)54 / 裁判年月日: 令和7年6月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】児童扶養手当と障害基礎年金の併給調整において、ひとり親世帯とふたり親世帯との間で差異が生じるとしても、社会保障制度の全般的公平を図るための立法府の広い裁量権の範囲内であり、憲法25条及び14条1項に違反しない。 第1 事案の概要:ひとり親世帯である上告人が、児童扶養手当と障害基礎年金を受給していた…
あてはめ
児童扶養手当は母子福祉年金を補完する制度であり、障害福祉年金と同様に所得保障としての性格を有する。複数事故において稼得能力の喪失が事故数に比例して増加するとは限らず、全般的公平の観点から公的年金相互間の併給調整を行うことは立法府の裁量範囲内である。本件では、身体障害者や母子に対する他の施策、生活保護制度も存在しており、併給を禁止した差別が合理的理由のない不当なものとはいえず、裁量の逸脱・濫用は認められない。
結論
本件併給調整条項は、憲法25条および14条1項に違反せず、合憲である。上告人の請求は棄却されるべきである。
実務上の射程
生存権をめぐる立法の違憲審査基準として「明白性の基準(著しく合理性を欠き、明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえない場合)」を確立した最重要判例。社会保障給付の額や受給要件の差別的取扱いを論じる際、立法府の広い裁量を前提とする答案構成の出発点となる。
事件番号: 昭和54(行ツ)110 / 裁判年月日: 昭和57年12月17日 / 結論: 棄却
国民年金法二〇条の規定は、憲法一四条違反の問題を生じない。
事件番号: 令和5(行ヒ)276 / 裁判年月日: 令和7年7月17日 / 結論: 破棄差戻
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(令和4年法律第76号による改正前のもの)20条1項に基づく介護給付費の支給決定に係る申請を却下する処分がされた場合において、次の⑴~⑷など判示の事情の下では、上記処分が違法であるとした原審の判断には、市町村の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った結果、受けることが…
事件番号: 平成27(行ツ)375 / 裁判年月日: 平成29年3月21日 / 結論: 棄却
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分は,憲法14条1項に違反しない。