児童扶養手当法(令和2年法律第40号による改正前のもの)13条の2第2項1号の規定及び児童扶養手当法施行令(令和2年政令第318号による改正前のもの)6条の4の規定のうち同号所定の公的年金給付中の受給権者に子があることによって加算された部分以外の部分を対象として児童扶養手当の支給を制限する旨を定める部分は、障害基礎年金との併給調整において憲法25条、14条1項に違反しない
判旨
児童扶養手当と障害基礎年金の併給調整において、ひとり親世帯とふたり親世帯との間で差異が生じるとしても、社会保障制度の全般的公平を図るための立法府の広い裁量権の範囲内であり、憲法25条及び14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
児童扶養手当法13条の2及び同法施行令の規定が、障害基礎年金との併給調整において、受給権者の置かれた状況の違いによる差異を設けていることが、憲法25条(生存権)及び14条1項(法の下の平等)に違反するか。
規範
社会保障制度において、具体的な立法措置をいかに講ずるかは、立法府の広い裁量に委ねられる。複数の社会保障給付間での全般的公平を図るための併給調整の可否や具体的内容は、その裁量の範囲に属する事柄であり、当該差別的取扱いが合理的理由のない不当なものと認められない限り、憲法25条及び14条1項に違反しない。
重要事実
ひとり親世帯である上告人が、児童扶養手当と障害基礎年金を受給していたところ、当時の政令(令和2年改正前)に基づき、障害基礎年金の本体部分を含めた全額が児童扶養手当から差し引かれる併給調整を受けた。一方、ふたり親世帯では、障害基礎年金の子加算部分のみが調整対象となり、結果としてひとり親世帯の方が不利な取扱いを受けているとして、上告人は当該規定が憲法25条・14条1項に違反すると主張して処分の取消しを求めた。
あてはめ
児童扶養手当と障害基礎年金は、いずれも社会保障制度の一部であり、所得保障としての性格を共通にする。ひとり親世帯で本人が両方を受給する場合と、ふたり親世帯で一方が手当、他方が年金を受給する場合等では、受給権者や世帯の状況に違いがある。生活保護等の他の社会保障制度の存在や、社会保障給付の全般的公平を図る必要性に照らせば、本件の併給調整が合理的理由のない差別をもたらすものとはいえず、立法府の裁量の範囲内である。
結論
本件併給調整規定は憲法25条、14条1項に違反せず、上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
堀木訴訟以来の「立法府の広い裁量」を維持するものである。社会保障給付間の調整について、形式的な平等よりも制度全体の整合性や公平性を重視し、立法府の判断を尊重する枠組みとして機能する。答案上は、社会保障法上の差別が問題となる場面で、裁量権の逸脱・濫用の有無を判断する基準として引用すべきである。
事件番号: 昭和54(行ツ)110 / 裁判年月日: 昭和57年12月17日 / 結論: 棄却
国民年金法二〇条の規定は、憲法一四条違反の問題を生じない。
事件番号: 平成12(行ツ)250 / 裁判年月日: 平成14年2月22日 / 結論: 破棄自判
児童扶養手当法4条1項5号の委任に基づき児童扶養手当の支給対象児童を定める児童扶養手当法施行令(平成10年政令第224号による改正前のもの)1条の2第3号のうち,「母が婚姻(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)によらないで懐胎した児童」から「父から認知された児童」を除外している括弧書部…
事件番号: 平成27(行ツ)375 / 裁判年月日: 平成29年3月21日 / 結論: 棄却
地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち,死亡した職員の夫について,当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを遺族補償年金の受給の要件としている部分は,憲法14条1項に違反しない。
事件番号: 平成8(行ツ)42 / 裁判年月日: 平成14年1月31日 / 結論: 破棄自判
児童扶養手当法4条1項5号の委任に基づき児童扶養手当の支給対象児童を定める児童扶養手当法施行令(平成10年政令第224号による改正前のもの)1条の2第3号のうち,「母が婚姻(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)によらないで懐胎した児童」から「父から認知された児童」を除外している括弧書部…