消費者庁が外部の機関に委託した機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業の報告書に記録された、検証の手法や基準、検証結果(データ)、考察内容、問題点等の情報について、上記報告書に、上記機関が消費者庁の定めた機能性表示食品の届出等に関するガイドラインにどのように依拠したかを示すような情報が記録されていることをうかがわせる事情の有無や、上記検証事業において用いられた知見が事業者において通常知り得ないものであるか否か等について認定説示することなく、上記報告書のうち上記の検証の手法や基準等の情報が記録された部分を開示することにより事業者において消費者庁の事後監視や検証機関による問題点の指摘を免れることを容易にさせるおそれがあるなどとして、上記情報が情報公開法(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条6号柱書き及び同号イ所定の不開示情報に該当するとした原審の判断には、違法がある。 (補足意見がある。)
機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業の報告書に記録された検証の手法や基準、検証結果(データ)、考察内容、問題点等の情報が情報公開法(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条6号柱書き及び同号イ所定の不開示情報に該当するとした原審の判断に違法があるとされた事例
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条6号
判旨
行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条6号にいう「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」の判断において、不開示情報に該当すると判断するためには、単なる抽象的な可能性ではなく、法的保護に値する程度の蓋然性が認められなければならない。
問題の所在(論点)
機能性表示食品の検証報告書における検証手法、データ、考察内容等が、情報公開法5条6号柱書き及び同号イにいう「国の機関等が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がある情報として、不開示情報に該当するか。
規範
情報公開法5条6号イ所定の不開示情報に該当するか否かは、①開示により行政庁の事後監視の着眼点等が推知され、事業者が監視を免れることを容易にする具体的なおそれがあるか、②検証手法や知見が事業者において通常知り得ない独自のものであるか、③開示によって第三者機関による忌憚のない検討が困難になる具体的な支障があるか、といった諸点を検討し、事務の適正な遂行に支障を及ぼす「法的保護に値する蓋然性」が認められる必要がある。
事件番号: 令和2(行ヒ)340 / 裁判年月日: 令和4年5月17日 / 結論: その他
預託法(平成21年法律第49号による改正前のもの)違反及び景表法(平成26年法律第71号による改正前のもの)違反に係る調査の結果に関する情報について、当該情報を公にすることにより、消費者庁長官等が上記各法律の執行に係る判断をするに当たり、いかなる事実関係をいかなる手法により調査し、調査により把握した事実関係のうちいかな…
重要事実
上告人は、消費者庁が外部機関に委託した機能性表示食品の検証事業報告書の開示を求めた。消費者庁は、分析手法の不備や検証結果に関する箇所を、事後監視の着眼点が推知され、事業者が監視を免れるおそれがある(5条6号柱書き及びイ)として不開示とした。原審は、開示により事後監視の重点が推知され、事業者が指摘を免れることを容易にするおそれがあるとして、この処分を妥当とした。
あてはめ
本件ガイドラインには具体的な分析判断基準の記載がなく、消費者庁が検証機関に対して特定の重点的検証を指示した事情も見当たらないため、開示により直ちに事後監視の重点が推知されるとはいえない。また、検証に用いられた知見が事業者の通常知り得ない独自のものか不明であり、むしろ一般的な知見である可能性も否定できない。そうであれば、検証内容が推知されたとしても、事業者が監視を免れることを容易にするおそれがあるとは直ちに断定できない。原審はこれらの点や開示による公益性を十分に検討していない。
結論
原審の判断には、5条6号の解釈適用における審理不尽・法令違反がある。原判決を破棄し、当該情報の性質や開示による具体的支障の蓋然性を更に審理させるため、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
行政情報の不開示理由として「事務の遂行に支障を及ぼす」と主張する場合、単なる抽象的な懸念では足りず、具体的・実質的な支障の蓋然性を立証する必要があることを示した。答案上は、行政側の裁量を否定し、開示による支障と公益(透明性向上や事業者の予見可能性)の比較衡量を示唆する宇賀補足意見とともに、厳格な当てはめを求める根拠として活用できる。
事件番号: 平成20(行ヒ)67 / 裁判年月日: 平成23年10月14日 / 結論: 破棄自判
エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前のもの)11条の規定により製造業の事業者が経済産業局長に提出した定期報告書に記載された工場単位の各種の燃料等及び電気の使用量等の各数値を示す情報が次の(1)及び(2)のようなものであったという事実関係の下では,当該情報は,情報公開法5条2号イ所定の…
事件番号: 令和7(行ツ)72 / 裁判年月日: 令和8年1月27日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】行政機関の保有する情報の公開に関する法律8条に基づく存否を明らかにしない拒否(グローマー拒否)の適否が争われる場合、裁判所は、当該文書の存否を答えるだけで不開示情報を開示することになるか否かを判断しなければならず、これを欠く判決には理由不備の違法がある。 第1 事案の概要:上告人が、亡Aに係る死刑…
事件番号: 令和4(行ヒ)296 / 裁判年月日: 令和5年10月26日 / 結論: 破棄自判
矯正管区長が、刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(令和3年法律第37号による廃止前のもの)45条1項所定の保有個人情報に当たるとの見解に立脚し、その全部を開示しない旨の決定をした場合において、上記決定当時、公表されていた裁判例や情報公…
事件番号: 平成9(行ツ)241 / 裁判年月日: 平成13年11月27日 / 結論: 棄却
学校法人が栃木県に提出した前年度収支計算書のうち資金収支計算書及び消費収支計算書における各決算欄の大科目部分並びに貸借対照表における本年度末欄,前年度末欄及び増減欄の各大科目部分に記載された情報は,その分析によって当該法人の競争上の地位を害するような独自の経営上のノウハウ等を看取することが困難であり,その内容が客観的に…