エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前のもの)11条の規定により製造業の事業者が経済産業局長に提出した定期報告書に記載された工場単位の各種の燃料等及び電気の使用量等の各数値を示す情報が次の(1)及び(2)のようなものであったという事実関係の下では,当該情報は,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に当たる。 (1) 当該事業者の内部において管理される情報としての性質を有し,製造業者としての事業活動に係る技術上又は営業上の事項等と密接に関係する。 (2) 総合的に分析することによって,当該工場におけるエネルギーコスト,製造原価及び省エネルギーの技術水準並びにこれらの経年的推移等についてより精度の高い推計を行うことが可能となり,当該事業者の競業者は自らの設備や技術の改善計画等に,当該工場の製品の需要者又は燃料等の供給者は価格交渉の材料等に,それぞれ有益な情報として用いることができる。
エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前のもの)11条の規定により製造業の事業者が経済産業局長に提出した定期報告書に記載された工場単位の各種の燃料等及び電気の使用量等の各数値を示す情報が,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に当たるとされた事例
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)5条2号イ,エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前のもの)11条,エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則(平成18年経済産業省令第19号による改正前のもの)10条,エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則(平成18年経済産業省令第19号による改正前のもの)11条1項1号,エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則(平成18年経済産業省令第19号による改正前のもの)11条2項1号,エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則(平成18年経済産業省令第19号による改正前のもの)様式第4第1表,エネルギーの使用の合理化に関する法律施行規則(平成18年経済産業省令第19号による改正前のもの)様式第5第1表
判旨
行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条2号イにいう「法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」がある不開示情報に当たるとされた事例
問題の所在(論点)
省エネルギー法に基づき提出された定期報告書に記載された、工場の燃料・電気の使用量等の数値情報(本件数値情報)が、情報公開法5条2号イ所定の「法人の……競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」がある不開示情報に該当するか。
規範
事件番号: 令和2(行ヒ)340 / 裁判年月日: 令和4年5月17日 / 結論: その他
預託法(平成21年法律第49号による改正前のもの)違反及び景表法(平成26年法律第71号による改正前のもの)違反に係る調査の結果に関する情報について、当該情報を公にすることにより、消費者庁長官等が上記各法律の執行に係る判断をするに当たり、いかなる事実関係をいかなる手法により調査し、調査により把握した事実関係のうちいかな…
法人の権利利益と密接に関係する情報の開示範囲を検討するに当たっては、当該情報の性質や当該情報を取り扱う法制度の趣旨・整合性を考慮すべきである。具体的には、情報の個別性・詳細性、及び当該情報を総合的に分析・比較することで得られる推計の精度に基づき、開示によって競業者が有利な地位に立ち、当該法人が不利な条件での競争や交渉を強いられる蓋然性が客観的に認められるかを判断する。
重要事実
(1)本件数値情報は、特定事業者の工場単位におけるエネルギー種別・使用量・前年度比等の詳細な基礎データである。(2)省エネルギー法は、国が企業のエネルギー使用状況を詳細に把握することを目的としており、類似の温暖化対策推進法では、事業者の権利利益配慮のため、より抽象度の高い排出量情報ですら開示制限の対象とされている。(3)本件数値情報を経年的に分析し、公表資料や自社のデータと比較することで、エネルギーコスト、製造原価、省エネルギー技術水準の精度の高い推計が可能となる。
あてはめ
まず、本件数値情報は工場単位の情報であり個別性が高く、加工されない詳細なデータであるため、競業者がこれを入手すれば、当該工場の製造原価や技術水準を分析し、自らの設備投資や改善計画に利用できる。次に、需要者にとっては、価格交渉においてエネルギーコスト減少を根拠とした値下げ要求等の客観的裏付けとなり得る。また、燃料供給者にとっては、当該工場への自社納入比率を正確に把握でき、価格交渉を有利に進める材料となる。これらに対し、事業者は報告を罰則付きで強制されており、開示による不利を回避することが困難である。したがって、情報の推計精度が粗いとしても、開示されない場合と比較して、事業者が競争や交渉で不利な状況に置かれる蓋然性が客観的に認められるといえる。
結論
本件数値情報は、開示により事業者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものとして、情報公開法5条2号イの不開示情報に当たる。
実務上の射程
行政庁に提出された詳細な事業データに関し、単体では断片的な数値であっても、経年比較や外部データとの照合により企業の核心的利益(コスト・技術水準)が推認され得る場合には、不開示事由に該当することを認めた。
事件番号: 令和6(行ヒ)94 / 裁判年月日: 令和7年6月6日 / 結論: 破棄差戻
消費者庁が外部の機関に委託した機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業の報告書に記録された、検証の手法や基準、検証結果(データ)、考察内容、問題点等の情報について、上記報告書に、上記機関が消費者庁の定めた機能性表示食品の届出等に関するガイドラインにどのように依拠したかを示すような情報が記録されていることをうか…
事件番号: 平成9(行ツ)241 / 裁判年月日: 平成13年11月27日 / 結論: 棄却
学校法人が栃木県に提出した前年度収支計算書のうち資金収支計算書及び消費収支計算書における各決算欄の大科目部分並びに貸借対照表における本年度末欄,前年度末欄及び増減欄の各大科目部分に記載された情報は,その分析によって当該法人の競争上の地位を害するような独自の経営上のノウハウ等を看取することが困難であり,その内容が客観的に…
事件番号: 平成2(行ツ)149 / 裁判年月日: 平成6年2月8日 / 結論: 棄却
大阪府水道部が事業の施行のために行った懇談会等に係る支出伝票及びこれに添付された債権者の請求書と経費支出伺は、右懇談会等が事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであり、かつ、右文書を公開することによってその相手方等が了知される可能性があることについて、その判断を可能とする程度…
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…