大阪府水道部が事業の施行のために行った懇談会等に係る支出伝票及びこれに添付された債権者の請求書と経費支出伺は、右懇談会等が事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであり、かつ、右文書を公開することによってその相手方等が了知される可能性があることについて、その判断を可能とする程度に具体的な事実を主張、立証しない限り、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号)において公文書の非公開事由を定めた八条四号又は五号により公開しないことができる文書に該当するとはいえない。
大阪府水道部が事業の施行のために行った懇談会等に係る公文書の大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号)八条四号又は五号該当性
大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条5号
判旨
行政機関が支出した会議接待費等の公文書公開において、事務執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるとして非公開とするためには、当該会合が内密の協議を目的とするものであること、及び公開により相手方が了知される可能性があることを、実施機関側が具体的に主張・立証する必要がある。
問題の所在(論点)
大阪府公文書公開等条例に基づき、会議接待費等の支出に関する情報を「非公開事由」に該当するとして非公開とした処分の適法性。特に、外形的事実の公開が「事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれ」に該当するための主張・立証責任の程度。
規範
1. 法人等の競争上の地位その他正当な利益を害する情報(1号)とは、営業上の秘密等、他者との対抗関係上特に秘匿を要する情報や、社会的評価を低下させる不利益を伴う情報を指す。 2. 事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれ(4号・5号)の有無については、(1)当該事務が企画調整や交渉等の性質を有し、(2)それが事業施行に不可欠な内密の協議を目的とするものであり、かつ(3)公表により相手方が了知され、以後の協力や率直な意見表明が拒否される等の具体的支障が生じる場合に限られる。これらの要件については、実施機関側が具体的かつ客観的な事実に基づき主張・立証すべきである。
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
重要事実
大阪府水道部が支出した会議接待費・懇談会費に係る支出伝票等の公文書(本件文書)について、公開請求がなされた。本件文書には、開催日、概括的な開催目的、出席者数、飲食店の名称、金額等が記録されており、一部には出席者氏名も記載されていた。大阪府知事(上告人)は、飲食店の営業上の利益保護(1号)や、今後の自由な意見交換の妨げ(4号・5号)を理由に非公開決定(本件処分)を行ったため、被上告人がその取消しを求めて提訴した。
あてはめ
1. 1号該当性について:本件文書には飲食店の営業秘密やノウハウは含まれず、利用事実の公開により業者の社会的評価が低下するとも認められないため、正当な利益を害するとはいえない。 2. 4号・5号該当性について:本件文書に記録された開催場所や人数等の「外形的事実」からは、通常、具体的な懇談内容までは明らかにならない。本件文書の中には、単なる事務打合せにすぎないものと、地権者との内密の折衝等が含まれ得るが、上告人は個々の会合が後者のような秘匿性の高い性質を有することや、他の情報との照合により相手方が特定され具体的な支障が生じることを具体的に主張・立証していない。したがって、一律に非公開とすることは認められない。
結論
本件文書の情報が非公開事由に該当するとの具体的立証がない以上、本件処分は違法であり、取り消されるべきである。上告棄却。
実務上の射程
情報公開訴訟において、実施機関側が負う主張・立証責任を厳格に解した判例である。単に「今後の協力が得られなくなる」といった抽象的な懸念では足りず、会合の具体的性質や、情報の組合せ(パズル効果)による特定可能性までを個別に立証する必要がある点に射程がある。答案作成上は、行政側の裁量を狭め、実質的な公開原則を担保する枠組みとして活用する。
事件番号: 平成9(行ツ)152 / 裁判年月日: 平成13年5月29日 / 結論: その他
京都府知事が平成元年度に支出した交際費に係る資金前渡金受払表で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているもののうち,個人に対する結婚祝い又は個人に対する受賞祝賀会の祝いに係る祝金に関する情報が記録されている部分は,京都府情報公開条例(昭和63年京都府条例第17号)5条1号及び6号に該当する。
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…
事件番号: 平成5(行ツ)56 / 裁判年月日: 平成7年2月24日 / 結論: 破棄自判
一 政治資金規正法(平成六年法律第四号による改正前のもの)二一条二項にいう収支報告書の「閲覧」には、写しの交付は含まれない。 二 自治省が、従来から、政治資金規正法の運用を含む機関委任事務等の処理に関し、個々の質問に対する回答という形で同省の見解を示した文書を各都道府県あてに送付することにより全国的に統一的な事務処理を…
事件番号: 平成11(行ヒ)221 / 裁判年月日: 平成13年12月14日 / 結論: 破棄差戻
1 旧徳島県情報公開条例(平成元年徳島県条例第5号。平成13年徳島県条例第1号による全部改正前のもの)による公開請求の対象となる公文書の範囲を規定している同条例2条1項にいう「実施機関が管理している」とは,実施機関が公文書を現実に支配,管理していることを意味する。 2 徳島県の予算執行事務の権限が知事に属することから直…