一 政治資金規正法(平成六年法律第四号による改正前のもの)二一条二項にいう収支報告書の「閲覧」には、写しの交付は含まれない。 二 自治省が、従来から、政治資金規正法の運用を含む機関委任事務等の処理に関し、個々の質問に対する回答という形で同省の見解を示した文書を各都道府県あてに送付することにより全国的に統一的な事務処理を図っており、自治大臣から同法の解釈等についての回答等の代理権を授与されている自治省選挙部政治資金課長が、問の欄に「地方公共団体は条例に基づき収支報告書の写しを交付することができるか。」、答の欄に「できないと解する。」などと記載した「政治資金規正法関係質疑集」と題する文書を各都道府県選挙管理委員会あてに送付していたなど判示の事実関係の下においては、同法に基づいて政治団体から大阪府選挙管理委員会に提出された収支報告書は、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号)九条三号所定の公文書の非公開事由となる「主務大臣等から公にしてはならない旨の明示の指示がある情報」が記録されている公文書に当たる。
一 政治資金規正法(平成六年法律第四号による改正前のもの)二一条二項にいう収支報告書の「閲覧」の意義 二 政治資金規正法に基づいて政治団体から大阪府選挙管理委員会に提出された収支報告書が大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号)九条三号所定の公文書の非公開事由となる「主務大臣等から公にしてはならない旨の明示の指示がある情報」が記録されている公文書に当たるとされた事例
政治資金規正法(平成6年法律第4号による改正前のもの)21条2項,政治資金規正法30条,地方自治法186条,地方自治法(平成3年法律第24号による改正前のもの)別表第3の3の(2),大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)9条3号
判旨
情報公開条例上の非公開事由である「主務大臣等からの明示の指示」とは、機関委任事務に関し、指揮監督権を有する主務大臣から代理権を授与された補助機関が、質疑応答の形式で全国一律に示した解釈等も含まれる。
問題の所在(論点)
政治資金規正法に基づく事務が機関委任事務である場合において、自治省の課長名義で送付された「質疑集」による回答が、条例9条3号にいう「主務大臣等からの明示の指示」に該当するか。
規範
機関委任事務の処理によって保有する公文書について、主務大臣等が当該公文書を公開してはならない旨の指示をした場合には、情報公開条例(本件条例9条3号)により公開は禁止される。この「指示」には、主務大臣から代理権を授与された補助機関(課長等)が、全国的な統一的処理を図るために質疑集等の形式で発した、内容の明確な運用解釈も含まれる。
事件番号: 平成2(行ツ)149 / 裁判年月日: 平成6年2月8日 / 結論: 棄却
大阪府水道部が事業の施行のために行った懇談会等に係る支出伝票及びこれに添付された債権者の請求書と経費支出伺は、右懇談会等が事業の施行のために必要な事項についての関係者との内密の協議を目的として行われたものであり、かつ、右文書を公開することによってその相手方等が了知される可能性があることについて、その判断を可能とする程度…
重要事実
大阪府民である被上告人が、大阪府選挙管理委員会(上告人)に対し、政治資金規正法(以下「規正法」)に基づく政治団体の収支報告書の写しの交付を請求した。これに対し、上告人は、自治省選挙部政治資金課長が全国の選管宛てに送付した質疑集の中で「写しの交付はできない」との解釈を示しており、これが条例上の「主務大臣等からの明示の指示」に当たるとして非公開処分とした。被上告人は同処分の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
第一に、規正法21条2項は「閲覧」のみを定め「写しの交付」を権利として保障していない。第二に、自治大臣は規正法30条に基づき選管を指揮監督でき、自治省文書決裁規程等により、政治資金課長は規正法の解釈回答に関する代理権を授与されている。第三に、本件質疑集は全国統一的な事務処理を図る目的で発せられ、その内容は写しの交付を禁じる旨が明確である。したがって、形式が質疑応答であっても、実質的には主務大臣の権限に基づく「明示の指示」といえる。
結論
本件質疑集の送付は「明示の指示」に当たり、本件条例9条3号に基づき写しの交付を認めなかった処分に違法はない。
実務上の射程
地方自治法改正前の機関委任事務に関する判例であるが、法体系における「指示」の解釈(補助機関への権限委任と形式の不問)において参照される。行政組織内部の依命通達や質疑応答であっても、権限と明確性があれば外部的な非公開の根拠となり得る点に射程がある。
事件番号: 平成5(行ツ)110 / 裁判年月日: 平成6年3月25日 / 結論: 棄却
一 学識経験者等の意見を聞く目的で府知事の設置したD協議会に治水対策案補足資料として提出されたダムサイト候補地点選定位置図が、自然条件や社会的条件について検討を経ない段階で、非公開の協議会におけるダム構想の検討資料とするため、府の担当部課がa流域において貯水可能な地形を地形図のみから読み取って示したにすぎないものである…
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…