京都府知事が平成元年度に支出した交際費に係る資金前渡金受払表で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているもののうち,個人に対する結婚祝い又は個人に対する受賞祝賀会の祝いに係る祝金に関する情報が記録されている部分は,京都府情報公開条例(昭和63年京都府条例第17号)5条1号及び6号に該当する。
京都府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているものの一部が京都府情報公開条例(昭和63年京都府条例第17号)5条1号及び6号に該当するとされた事例
京都府情報公開条例(昭和63年京都府条例第17号)5条1号,京都府情報公開条例(昭和63年京都府条例第17号)5条6号
判旨
知事交際費の支出相手方氏名は、特段の事情がない限り、個人情報保護及び事務事業の適正な執行の観点から非公開事由に該当する。結婚披露宴や祝賀会への出席の事実が公開されていても、支出金額等の詳細までもが不特定の者に知られる予定がない限り、非公開性は失われない。
問題の所在(論点)
情報公開条例上の非公開事由(個人情報・事務事業執行の支障)の解釈において、交際の事実(出席等)が公知である場合、支出相手方の氏名や具体的な金額等の情報は「公開されることが予定されている情報」として非公開性が失われるか。
規範
1. 事務事業情報(条例5条6号相当):交際事務は、相手方との信頼・友好関係の維持を目的とする。相手方の識別により、他者への不満・不快感を招き、信頼関係が損なわれるおそれがある場合や、知事が将来の支出を差し控え、事務の適正な執行に著しい支障が生じるおそれがある場合は、原則として非公開となる。例外として、相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でなされるなど、公表による支障が認められない場合は公開される。 2. 個人情報(条例5条1号相当):私人が具体的な費用・金額等を他人に知られたくないと望むことは正当である。したがって、交際内容が一般に公表されることがもともと予定されているものを除き、相手方が識別され得る情報は原則として非公開となる。
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
重要事実
京都府知事の交際費(祝金等)の支出状況を記録した「資金前渡金受払表」につき、支出の相手方である個人の氏名部分が非公開とされた。対象となったのは、知事が招待され出席した結婚披露宴の祝金や受賞祝賀会の祝いである。知事の出席事実は秘密ではなかったが、金額は1万円から3万円の幅があり、個別的な判断により支出されていた。原審は、出席の事実が秘密でないことを理由に公開を命じたため、府側が上告した。
あてはめ
本件の結婚祝いや受賞祝賀会の祝いは、知事の出席という事実自体は不特定の者に知られ得るものであった。しかし、祝金の贈呈事実やその具体的な金額までもが、出席者や不特定の者に披露・公表されることは通常考えられない。また、金額が1万円や3万円と個別に決定されている以上、相手方の氏名が公表されれば、他者との比較等により信頼関係が損なわれるおそれがある。したがって、本件情報は、内容までもが不特定の者に知られ得る状態でなされた交際とはいえず、非公開事由に該当する。
結論
支出の相手方記載部分は、条例の定める非公開事由(個人情報・事務事業の支障)に該当し、非公開とした処分は適法である。
実務上の射程
行政の裁量的経費(交際費)の公開範囲に関するリーディングケース。相手方氏名と金額が結びつくことで生じる「比較による不満」を事務執行の支障として正面から認めている。答案上では、公的行事への出席という『外形的事実』の公知性と、金額等の『内容』の非公開性を区別して論じる際に活用できる。
事件番号: 平成13(行ヒ)83 / 裁判年月日: 平成15年10月28日 / 結論: その他
1 知事の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方である個人が識別され得る情報のうち交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものは,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号ロにより同号の情報に当たらない。 2 知事の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方が識…
事件番号: 平成13(行ヒ)8 / 裁判年月日: 平成16年2月13日 / 結論: その他
1 京都市清掃局の開催した飲食を伴う会合に埋立処分地,清掃工場,清掃事務所等の清掃事業施設等の地元関係者が出席したことに関する情報は,同会合が,上記施設等の稼働,建設計画等に関して地元関係者と内密に個別折衝し,あるいは地元関係者の理解を得るために開催されたという事実関係の下においては,京都市公文書の公開に関する条例(平…
事件番号: 平成13(行ヒ)18 / 裁判年月日: 平成16年2月13日 / 結論: その他
1 京都市交通局の開催した飲食を伴う協議に地下鉄建設事業地域の地元住民の団体に所属する者及び地権者の団体に所属する者が出席したことに関する情報は,同協議が上記各団体に地下鉄建設工事の内容の説明等を行うことなどを目的としていたという事実関係の下においては,京都市公文書の公開に関する条例(平成3年京都市条例第12号)8条1…
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…