学校法人が栃木県に提出した前年度収支計算書のうち資金収支計算書及び消費収支計算書における各決算欄の大科目部分並びに貸借対照表における本年度末欄,前年度末欄及び増減欄の各大科目部分に記載された情報は,その分析によって当該法人の競争上の地位を害するような独自の経営上のノウハウ等を看取することが困難であり,その内容が客観的にみて当該法人の学校運営等を阻害したりその信用又は社会的評価を害するものではなく,また,当該法人が上記情報を管理することに正当な利益を有すると認めるに足りないという事情の下においては,栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)において非開示事由を定めた6条2号に該当しない。
学校法人が栃木県に提出した文書に記載された経理に関する情報が栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)6条2号に該当しないとされた事例
栃木県公文書の開示に関する条例(昭和61年栃木県条例第1号)6条2号
判旨
情報公開条例上の「法人等に不利益を与えることが明らか」な情報とは、単に通常他人に知られたくないというだけでは足りず、開示により法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されることが客観的に明らかな場合をいう。
問題の所在(論点)
情報公開条例において、法人等の正当な利益を保護するための非開示事由である「法人等に不利益を与えることが明らか」な情報の意義、および学校法人の財務諸表(大科目部分)がこれに該当するか。
規範
「法人等に不利益を与えることが明らかであると認められるもの」(非開示事由)とは、単に当該情報が通常他人に知られたくないというだけでは足りない。当該情報が開示されることによって、当該法人等の競争上の地位その他正当な利益が害されることを要し、かつ、そのことが客観的に明らかでなければならない。
重要事実
事件番号: 平成11(行ヒ)28 / 裁判年月日: 平成14年10月11日 / 結論: 棄却
公立学校教員採用候補者選考審査のうちの教職教養筆記審査の択一式問題とその解答は,受審者の間で過去の出題例を編集した市販の問題集等を用いた受審準備が行われているなど判示の事情の下においては,県の機関又は国等の機関が行う事務事業に関する情報についての非開示事由を定める高知県情報公開条例(平成2年高知県条例第1号)6条8号に…
参加人が栃木県に対し、学校法人(上告人)が提出した補助金交付申請書等のうち、前年度収支計算書等の「大科目部分」の開示を請求した。これに対し、実施機関(被上告人)が開示決定を行ったため、上告人が当該情報は法人等の不利益情報(本件条例6条2号)に該当するとして、決定の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
本件情報は財務諸表の「大科目」に限定されており、これのみでは独自の経営ノウハウや詳細な経営実態を把握することは困難である。また、多数の学校法人が同種の情報を自主的に開示している実情がある。本件情報から得られる分析内容が、直ちに上告人の競争上の地位を害したり、悪意の宣伝等により社会的評価を害するなどの特段の事情は認められない。したがって、経理情報であることをもって直ちに管理上の正当な利益があるとはいえず、開示により不利益が生じるとは認められない。
結論
本件情報は、法人等の正当な利益を害することが客観的に明らかな情報には当たらず、非開示事由には該当しない。上告棄却。
実務上の射程
法人情報の非開示事由の解釈指針を示す。答案では「競争上の地位その他正当な利益」の侵害を基準に、情報の具体性(大科目か小科目か)、業界の慣行(他法人の公開状況)、悪用可能性の有無といった要素を用いて、不利益の「客観的な明白性」を論じる際の枠組みとして活用する。
事件番号: 平成12(行ヒ)334 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 富山県の職員の出勤簿に記録された職員の採用年月日及び退職年月日を示す情報並びにその職員が特定の日に出勤し,又は出張したことを示す情報及びその職員が特定の日に職務専念義務の免除を受け,厚生事業に参加し,又は欠勤したことを示す情報で公務に従事しなかった個別的内容や具体的理由までが明らかになるものではないものは,旧富山県…
事件番号: 平成3(行ツ)69 / 裁判年月日: 平成6年1月27日 / 結論: その他
栃木県知事の交際費に係る現金出納簿のうち交際の相手方が識別され得るものは、相手方の名称等が外部に公表、披露されることがもともと予定されているものなどを除き、栃木県公文書の開示に関する条例(昭和六一年栃木県条例第一号)において公文書の非開示事由を定めた六条五号により開示しないことができる文書に該当する。
事件番号: 平成11(行ヒ)145 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)を代表する者又はこれに準ずる地位にある者がその職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,旧新潟県情報公開条例(平成7年新潟県条例第1号。平成10年新潟県条例第40号による改正前のもの)10条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 …
事件番号: 平成13(行ヒ)83 / 裁判年月日: 平成15年10月28日 / 結論: その他
1 知事の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方である個人が識別され得る情報のうち交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものは,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号ロにより同号の情報に当たらない。 2 知事の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方が識…