表形式の複数の行政文書の「備考」欄に記録された情報について、当該各行政文書の「備考」欄には複数の小項目が設けられているものがあることがうかがわれるなど判示の事情の下においては、原審としては、国に対し、文書ごとに、「備考」欄に小項目が設けられているか否か、小項目が設けられている場合に、それでもなお当該「備考」欄について一体的に情報公開法(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条3号又は4号所定の不開示情報が記録されているといえるか否か等について明らかにするよう求めた上で、合理的に区切られた範囲ごとに、上記不開示情報該当性についての判断をすべきであったにもかかわらず、上記の観点から審理を尽くすことなく、「備考」欄ごとにそれぞれ一体的に上記不開示情報該当性についての判断をした原審の判断には、違法がある。 (補足意見及び意見がある。)
表形式の行政文書の「備考」欄に記録された情報につき、一体的に情報公開法(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条3号又は4号所定の不開示情報該当性についての判断をした原審の判断に違法があるとされた事例
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)6条1項、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)(平成28年法律第51号による改正前のもの)5条3号、4号
判旨
情報公開決定の不開示部分の取消訴訟における違法判断の基準時は、当該不開示決定がされた時点である。また、表形式の行政文書において不開示情報該当性を判断する際は、単に「欄」等の形式的単位にとどまらず、情報の性質や具体的内容に照らし、合理的に区切られた範囲ごとに判断すべきである。
問題の所在(論点)
1. 不開示決定の取消訴訟における違法判断の基準時はいつか。処分後の情報の変更を考慮できるか。 2. 表形式の行政文書(特に備考欄)において、不開示情報該当性を判断する際の「情報の単位」はどのように画定されるべきか。
規範
1. 不開示決定の取消訴訟における違法判断の基準時は、当該処分がされた時点である。処分後の事情による情報の加筆・変更は、特段の事情のない限り、当該処分の適否に影響しない。 2. 情報公開法5条各号の不開示情報の該当性は、行政文書が表形式であっても、常に各欄ごとに判断すれば足りるわけではない。特に「備考」欄のように多様な情報が記録され得る箇所については、文書ごとに小項目の有無や情報の可分性を確認し、合理的に区切られた範囲ごとに判断すべきである(情報公開法5条、6条1項の趣旨)。
事件番号: 平成27(行ヒ)221 / 裁判年月日: 平成28年3月10日 / 結論: 破棄自判
1 京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)に基づく開示請求に対してされた個人情報の一部を不開示とする決定に係る通知書に,当該開示請求に対する応答として一部を開示するものである旨明示され,不開示とされた部分を特定してその理由が示されているという判示の事情の下においては,上記通知書が到達してから6か月を経過して…
重要事実
上告人は、警察庁長官に対し「保有個人情報管理簿」の開示を請求したが、大部分を不開示(情報公開法5条3号・4号該当)とする決定を受けた。訴訟継続中、警察庁側は一部を新たに開示する「本件変更決定」を行った。原審は、①違法判断の基準時を変更決定時とし、当初決定後に加筆された情報を含めて判断した。また、②「備考」欄に複数の小項目が含まれることがうかがわれる場合であっても、被告による具体的な主張立証がないとして、各欄を一体不可分なものとして不開示該当性を判断した。
あてはめ
1. 基準時について:上告人は本件決定(当初処分)の不開示部分の取消しを求めている以上、本件決定時点の不開示情報該当性を審理すべきである。変更決定時を基準として、当初決定後に加筆・変更された情報に基づき判断した原審には法令違反がある。 2. 判断単位について:情報公開法は原則公開を旨とし、一部開示(6条1項)を規定する。「備考」欄には付随的な多様な情報が含まれ、現に別件では小項目ごとに区分して開示されている。被告が主張立証に応じないことを理由に、内容の特定が困難として一律に「欄」単位で一体的に判断した原審は、釈明権を行使して合理的な区切りを明らかにする義務(審理不尽)を怠ったといえる。
結論
原判決中、当初決定後の加筆部分を基準とした判断、及び「備考」欄を一体として判断した部分は破棄を免れない。当該部分について審理を尽くさせるため、原審に差し戻す。
実務上の射程
処分時を違法判断の基準時とする原則を再確認した。実務上、被告(国側)が「欄単位でしか主張できない」と拒んでも、裁判所は容易に区分可能な小項目の有無等を釈明させ、可能な限り細分化した範囲で不開示該当性を審理する義務があることを示した射程の広い判決である。
事件番号: 平成12(行ヒ)334 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 富山県の職員の出勤簿に記録された職員の採用年月日及び退職年月日を示す情報並びにその職員が特定の日に出勤し,又は出張したことを示す情報及びその職員が特定の日に職務専念義務の免除を受け,厚生事業に参加し,又は欠勤したことを示す情報で公務に従事しなかった個別的内容や具体的理由までが明らかになるものではないものは,旧富山県…
事件番号: 令和4(行ヒ)296 / 裁判年月日: 令和5年10月26日 / 結論: 破棄自判
矯正管区長が、刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報について、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(令和3年法律第37号による廃止前のもの)45条1項所定の保有個人情報に当たるとの見解に立脚し、その全部を開示しない旨の決定をした場合において、上記決定当時、公表されていた裁判例や情報公…
事件番号: 平成19(行ヒ)270 / 裁判年月日: 平成21年7月9日 / 結論: 破棄自判
凶悪重大犯罪等に係る出所情報ファイルを犯罪捜査に有効活用すること等を要請する警察庁から県警察本部長あての通達文書に記録された情報のうち,同ファイルの記録対象者を限定する入所罪名及び出所事由の種別に係る情報は,これが公にされた場合,行刑施設の出所者において自己が同ファイルの記録対象とされるか否かについて確実な判別をするこ…
事件番号: 平成9(行ツ)241 / 裁判年月日: 平成13年11月27日 / 結論: 棄却
学校法人が栃木県に提出した前年度収支計算書のうち資金収支計算書及び消費収支計算書における各決算欄の大科目部分並びに貸借対照表における本年度末欄,前年度末欄及び増減欄の各大科目部分に記載された情報は,その分析によって当該法人の競争上の地位を害するような独自の経営上のノウハウ等を看取することが困難であり,その内容が客観的に…