1 京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)に基づく開示請求に対してされた個人情報の一部を不開示とする決定に係る通知書に,当該開示請求に対する応答として一部を開示するものである旨明示され,不開示とされた部分を特定してその理由が示されているという判示の事情の下においては,上記通知書が到達してから6か月を経過して提起された当該決定の取消しを求める訴えは,当該決定に係る個人情報の開示が実施された日から6か月以内に提起されたものであるとしても,行政事件訴訟法14条1項本文の定める出訴期間を経過した後に提起されたものである。 2 京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)に基づく開示請求に対してされた個人情報の一部を不開示とする決定に係る通知書において出訴期間の教示がなされていること,当該通知書の記載は不開示部分を特定して不開示の理由を付したものであること,当該通知書が開示請求者を代理する弁護士の下に到達した1週間後に当該決定に係る個人情報の開示が実施されたことなど判示の事情の下においては,当該決定の取消しを求める訴えが出訴期間を経過した後に提起されたことにつき,行政事件訴訟法14条1項ただし書にいう「正当な理由」があるとはいえない。
1 個人情報の一部を不開示とする決定の取消しを求める訴えが,行政事件訴訟法14条1項本文の定める出訴期間を経過した後に提起されたものとされた事例 2 個人情報の一部を不開示とする決定の取消しを求める訴えが出訴期間を経過した後に提起されたことにつき,行政事件訴訟法14条1項ただし書にいう「正当な理由」があるとはいえないとされた事例
(1,2につき)行政事件訴訟法14条1項,京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)15条1項,京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)15条2項,京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)16条1項,京都府個人情報保護条例(平成8年京都府条例第1号)16条2項
判旨
行政事件訴訟法14条1項本文の「処分があったことを知った日」とは、処分があったことを現実に知った日を指し、内容の詳細や不利益性等の認識までは不要である。個人情報一部不開示決定の場合、開示の実施前であっても、不開示部分と理由が示された通知書が到達した時点で処分を知ったものと解される。
問題の所在(論点)
個人情報の一部不開示決定処分に対する取消訴訟において、行政事件訴訟法14条1項本文の出訴期間(6か月)の起算点となる「処分があったことを知った日」は、通知書が到達した日か、それとも具体的な不開示内容を現実に確認できる開示文書が到達した日か。
規範
事件番号: 令和5(行ヒ)335 / 裁判年月日: 令和7年6月3日 / 結論: その他
表形式の複数の行政文書の「備考」欄に記録された情報について、当該各行政文書の「備考」欄には複数の小項目が設けられているものがあることがうかがわれるなど判示の事情の下においては、原審としては、国に対し、文書ごとに、「備考」欄に小項目が設けられているか否か、小項目が設けられている場合に、それでもなお当該「備考」欄について一…
行政事件訴訟法14条1項本文にいう「処分があったことを知った日」とは、名宛人が処分のあったことを現実に知った日をいい、当該処分の内容の詳細や不利益性等の認識までを要するものではない。個人情報の開示決定等については、実際の開示(公文書の写しの交付等)が後続の手続として位置付けられている以上、通知書が到達した時点で処分の効力が生じ、処分の存在を現実に知り得たものと解するのが相当である。
重要事実
被上告人は京都府警察本部長に対し、死亡した子の事件に関する個人情報の開示を請求した。処分行政庁は一部不開示を決定し、平成24年10月15日に不開示部分と理由を特定した通知書が被上告人の代理人弁護士に到達した。しかし、実際の開示文書(塗りつぶし済みの写し)が到達したのはその1週間後の10月22日であった。被上告人は、文書が届いた22日から起算すれば出訴期間内となる平成25年4月19日に、本件処分の取消訴訟等を提起した。
あてはめ
本件条例において、開示決定と開示の実施は別個の手続であり、通知書には一部開示の旨と不開示部分の特定・理由が明示されていた。代理人弁護士は通知書を受け取った10月15日時点で、本件開示請求に対する応答としての処分の存在を現実に知ったといえる。不開示の具体的な内容(どの文字が隠されているか等)の詳細を知るまでは要しない。また、通知書には出訴期間の教示があり、代理人は一貫して関与していたことから、出訴期間経過後の提起について「正当な理由」(同条項ただし書)も認められない。
結論
被上告人が処分を知った日は通知書が到達した平成24年10月15日であり、本件訴えは6か月の出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである。
実務上の射程
処分の効力発生時期と認識時期の峻別を示す。不利益の内容を完全に把握できていなくとも「処分の存在」を認識した以上、出訴期間が進行することを強調しており、通知書到達後の速やかな提訴または審査請求検討の必要性を示す射程を持つ。
事件番号: 平成12(行ヒ)334 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 富山県の職員の出勤簿に記録された職員の採用年月日及び退職年月日を示す情報並びにその職員が特定の日に出勤し,又は出張したことを示す情報及びその職員が特定の日に職務専念義務の免除を受け,厚生事業に参加し,又は欠勤したことを示す情報で公務に従事しなかった個別的内容や具体的理由までが明らかになるものではないものは,旧富山県…
事件番号: 平成8(行ツ)210 / 裁判年月日: 平成13年3月27日 / 結論: その他
1 大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関する情報が記録されているものは,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,5号及び9条1号のいずれにも該当しない。 2 大阪府知事が昭和60年1月ないし3月に支出した交際費に係る公文書で交際の相手方が…