戦傷病者戦歿者遺族援護法による遺族年金裁定の取消処分に対する不服の申立てに対し、厚生大臣が同法(昭和三七年法律第一六一号による改正前)第四一条第一項に基づいて裁決をした場合において、不服の申立てをした者に送達された裁決書に大臣の押印がないときでも、原判決認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、その送達の時から右裁決に対する取消訴訟の出訴期間の進行が開始するものと解するのが相当である。
厚生大臣の押印を欠く訴願裁決書の送達が有効と認められた事例
戦傷病者戦没者遺族援護法(昭和37年法律第161号による改正前)41条1項,行政事件訴訟法14条
判旨
行政事件訴訟における出訴期間の起算点は、裁決書等の送達を受けた日であり、本件では裁決書を受領した日から3か月以内と解される。
問題の所在(論点)
行政処分に対する不服申立ての結果である裁決について、その取消訴訟を提起すべき出訴期間の起算点をいつと解すべきか。
規範
行政事件訴訟法第14条第1項(当時の規定。現在は第2項等)に基づき、裁決の取消しの訴えは、裁決があったことを知った日から3か月(現在の現行法では6か月)以内に提起しなければならない。この「知った日」とは、通常、裁決書の謄本が送達された日を指す。
重要事実
上告人は、昭和38年1月13日に本件に係る裁決書(乙1号証)を受領した。しかし、上告人が訴訟を提起した時期が、この受領日から3か月の出訴期間を経過していたかどうかが争点となり、原審は出訴期間を徒過したと判断した。
あてはめ
上告人が裁決書を受領した日は昭和38年1月13日である。出訴期間は、特別の事情がない限り、この受領の日(知った日)から進行を開始する。本件において、当該受領日から3か月の期間内に出訴がなされなかった事実は原判決において確定されており、期間の徒過が認められる。上告理由にある「違法」を裏付ける特段の事情も認められないため、原判決の判断は正当である。
結論
本件訴訟の出訴期間は、裁決書を受領した昭和38年1月13日から3か月であり、これを超えて提起された訴えは不適法として棄却されるべきである。
実務上の射程
出訴期間の起算点に関する基本的な準則を示すものである。答案上では、行訴法14条の「知った日」の解釈として、原則として「処分・裁決の内容を了知し得る状態に置かれた日(送達日等)」を指すことの確認に用いる。
事件番号: 昭和27(オ)746 / 裁判年月日: 昭和28年12月18日 / 結論: 棄却
訴願書に訴願人の住所でない場所を住所と記載して訴願を提起した場合は、住所と記載された場所の居住者に訴願裁決書の受領を委任した趣旨と解すべく、右居住者が訴願裁決書を受領したときは、その日から出訴期間は進行する。