一 自作農創設特別措置法第四七条の二にいわゆる「処分のあつたこと」とは、処分を受ける者に対して告知を要する場合は、処分が告知によつて効力を発生したことを指すものである。 二 訴願裁決書の謄本送付前に提起された原行政処分の取消を求める訴は不適法であるが、その後裁決書謄本が送達されたときは、右の訴を適法なものと解すべきである。
一 自作農創設特別措置法第四七条の二にいわゆる「処分のあつたこと」の意義 二 訴願裁決書の謄本送付前に提起した訴の適否
自作農創設特別措置法47条の2,昭和22年法律241号附則7条,行政事件訴訟特例法5条,自作農創設特別措置法施行規則4条2項
判旨
行政処分の効力は相手方への告知(到達)により発生し、裁決前の訴え提起は不適法であるが、訴訟継続中に裁決が送達されればその瑕疵は治癒される。
問題の所在(論点)
行政処分の「処分のあったこと」の意義(効力発生時期)と、裁決の効力発生前に提起された取消訴訟の適法性、および訴訟継続中の瑕疵の治癒の可否が問題となる。
規範
行政処分の効力発生時期は、単なる処分の成立時ではなく、処分が相手方に対し告知された時(裁決の場合は謄本が送達され相手方に到達した時)と解される。また、裁決の効力発生前に提起された訴えは、提起時点では不適法であっても、その後に裁決の送達により効力が発生した場合には、訴訟上の瑕疵は治癒され適法となる。
重要事実
上告人は、自作農創設特別措置法に基づく処分等に対し訴願を提起した。訴願裁決書の日付は昭和22年10月30日であったが、上告人に対し裁決書の謄本が送付されたのは昭和23年3月12日以後であった。一方で、上告人は謄本送付前の同年3月3日に本件訴えを提起していた。原審は出訴期間経過後として訴えを不適法としたが、上告人が不服を申し立てた。
あてはめ
本件における裁決は、謄本が上告人に到達した昭和23年3月12日以後に初めて効力を生じる。したがって、同年3月3日の訴え提起時点では裁決が未発効であり不適法であったといえる。しかし、その後に裁決謄本が送達されたことで裁決の効力が発生している。この場合、先行して提起されていた訴えの瑕疵は治癒されたと解すべきである。また、訴願提起から3ヶ月を経過しても裁決謄本が送達されていなかった事実を鑑みれば、行政事件訴訟特例法(当時)に照らしても本訴提起は適法と認められる。
結論
本件訴えの提起は適法である。瑕疵ある不適法な訴えとして却下した原判決を取り消し、審理を尽くさせるため本件を第一審裁判所に差し戻す。
実務上の射程
処分の効力発生時期に関する一般原則(到達主義)を示すとともに、取消訴訟における「処分・裁決の存在」という適法要件が、訴訟継続中に具備された場合の瑕疵の治癒を認めた重要な事例である。答案上は、訴訟要件が欠けている場合であっても、口頭弁論終結時までに要件が具備されれば適法となり得るという法理の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)640 / 裁判年月日: 昭和30年9月23日 / 結論: 破棄差戻
農地買収計画に対し異義の申立をしないで右計画公告後五箇月を経て直接訴願庁に提起された訴願であつても、訴願庁が宥恕すべき事情があると認めてこれを受理し棄却の裁決をした以上、右裁決は、行政事件訴訟特例法第五条第四項にいう訴願の裁決に当るものと解すべきである。