判旨
行政処分の取消しの訴えにおける出訴期間は、第三者が提起する場合であっても、原則として処分の相手方に処分通知(買収令書)が交付された日から起算すべきである。
問題の所在(論点)
行政処分の直接の相手方ではない第三者が取消訴訟を提起する場合において、出訴期間の起算点を処分の相手方に対する処分通知の交付時と解すべきか。
規範
行政処分の取消しの訴えにつき法律が出訴期間を定めている場合、処分の相手方以外の第三者が原告となる場合であっても、特段の事情のない限り、当該期間は処分の相手方に買収令書等の処分通知が交付され、処分の効力が生じた日から起算する。
重要事実
自作農創設特別措置法に基づく農地の買収処分に対し、第三者である上告人が取消訴訟を提起した。本件買収令書は、処分の相手方の代理人に対して昭和25年8月25日頃に交付されていた。同法47条の2は、処分の効力が生じた日から2か月以内に出訴すべき旨を規定していたが、本件訴えが提起されたのは同年11月27日であった。上告人は、第三者が提起する訴訟において相手方への交付時を起算点とすることの是非や、無効確認への釈明義務違反を主張して争った。
あてはめ
本件における買収処分の効力は、相手方の代理人であるDに対し買収令書が交付された昭和25年8月25日頃に発生している。同法が定める2か月の出訴期間をこの効力発生時から起算すると、同年10月25日頃が経過期限となる。本件訴えは同年11月27日に提起されており、起算点を相手方への交付時と解する以上、期間経過後の不適法な訴えといわざるを得ない。また、請求の趣旨が取消しを求めるものであることが明白な以上、裁判所に無効確認への変更を促す釈明義務があるとも認められない。
結論
本件訴えは出訴期間を経過した後に提起されたものであり、却下を免れない。したがって、原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
事件番号: 昭和38(オ)1403 / 裁判年月日: 昭和39年4月9日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法による農地買収処分に対する取消訴訟の出訴期間は、同法第九条による買収令書の交付のあつた日から起算すべきである。
実務上の射程
現行の行政事件訴訟法14条1項(知った日から6か月)および2項(あった日から1年)の解釈において、客観的な出訴期間(2項)の起算点が「処分があった日(効力発生日)」であることを確認する際の基礎となる判例である。第三者が処分をいつ知ったかにかかわらず、処分の効力発生から法定期間が経過すれば出訴できなくなるという法的安定性の要請を示している。
事件番号: 昭和43(行ツ)26 / 裁判年月日: 昭和43年6月20日 / 結論: 棄却
戦傷病者戦歿者遺族援護法による遺族年金裁定の取消処分に対する不服の申立てに対し、厚生大臣が同法(昭和三七年法律第一六一号による改正前)第四一条第一項に基づいて裁決をした場合において、不服の申立てをした者に送達された裁決書に大臣の押印がないときでも、原判決認定の事実関係(原判決理由参照)のもとにおいては、その送達の時から…