判旨
農地の買収計画の適否は、その計画が定められた時点の事実関係に基づき判断されるべきであり、過去の買収処分において買収されなかった事実のみをもって、後の買収処分が違法となることはない。
問題の所在(論点)
先行する農地買収処分において買収対象外とされた農地について、その後の事情変更や時点の違いに基づき、改めて買収計画を策定することの可否。また、先行処分の内容が後の処分を拘束するか(行政処分の既判力的効力の有無)。
規範
行政処分の適法性は、原則として当該処分の行われた時点の事実関係および法令に基づいて判断される。また、先行する買収処分において特定の農地が買収対象から除外されたとしても、そのことが当該農地を将来にわたって買収不適地として確定する効力(既判力に準ずるような効力)を持つものではない。
重要事実
上告人は仙台市に居住する大学教授であり、松山市内の農地を所有していた。昭和22年、愛媛県知事は上告人およびその父の所有地を合算した上で一部を買収したが、本件農地は保有小作地として買収を免れた。その後、父の死亡により上告人が本件農地を相続したが、昭和27年に至り、農業委員会は本件農地を対象とする新たな買収計画を策定した。上告人は、過去に買収されなかった既得権の侵害や一事不再理の原則に反すると主張して、本件計画の違法を訴えた。
あてはめ
本件買収計画の適否は、計画が策定された昭和27年3月1日現在の事実関係に基づき判断されるべきである。当時、上告人は当該区域外に居住する不在地主であり、自作農創設特別措置法3条1項1号の買収対象農地に該当する事実に変わりはない。昭和22年の処分で買収されなかったのは当時の世帯単位の計算等の事情によるものであり、その処分が本件農地を買収不適地として将来にわたり確定させる効力はない。また、上告人が近く帰住する事情も認められないため、同法4条等の例外規定を適用する余地もない。
結論
本件買収計画に違法はなく、上告人の主張は理由がない。先行処分で買収されなかった事実により、将来の買収を拒絶できる権利(既得権)が発生するものでもない。
実務上の射程
行政処分の基準時が「処分時」であることを確認する事案である。特に、継続的な行政過程において過去の判断が将来を永続的に拘束しないこと、および行政処分には判決のような既判力がないことを論証する際の補強材料として利用できる。
事件番号: 昭和26(オ)402 / 裁判年月日: 昭和28年4月3日 / 結論: 棄却
地主の家族は七名で耕作面積は係争農地を含めて二町四反余であり、居村では最上層部に位する農家であるのに対し、小作人は小作人として不誠実の点もなく約三〇年前から右農地を耕作して来、その家族は五名で耕作面積は僅かに五反歩に過ぎない場合は、合意によつて賃貸借を解約しても、その解約は自作農創設特別措置法第六条の二第二項第一号のい…