自作農創設特別措置法による農地買収処分に対する取消訴訟の出訴期間は、同法第九条による買収令書の交付のあつた日から起算すべきである。
農地買収処分取消訴訟の出訴期間の起算点。
自作農創設特別措置法9条,自作農創設特別措置法47条の2
判旨
農地の買収処分に対する取消訴訟の出訴期間は、買収令書が交付され処分が効力を生じた日から起算される。また、旧地主は農地の売渡処分の相手方ではないため、当該処分通知がなくても出訴期間は処分の日から進行し、期間経過後の訴えは不適法となる。
問題の所在(論点)
1. 農地買収処分における出訴期間の起算点はいつか。2. 旧地主に対する通知がない農地売渡処分について、出訴期間はどのように解すべきか。
規範
行政処分の取消しの訴えにおける出訴期間は、処分が効力を生じた日(処分の日)から起算される。相手方に対する処分については当該通知等により処分を知り得た時点が基準となり、処分の直接の相手方でない者に対する処分については、処分の成立時をもって期間が進行する。
重要事実
上告人は、農地の買収令書を昭和24年6月28日に受領したが、これは処分日から10ヶ月が経過しており出訴期間を失わせる意図があったと主張した。また、本件農地の売渡処分について、旧地主である上告人への通知がなかったことを理由に、買収および売渡処分の違法を訴えた。原審は、各処分が昭和25年2月17日以前になされたと認定した上で、提訴がそれから2ヶ月以上経過していると判断した。
事件番号: 昭和25(オ)287 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する取消訴訟において、出訴期間の規定は公法上の法律関係を早期に確定させるための強行規定であり、処分の実体的な違法性の有無や行政庁による訴訟提起の要請にかかわらず適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分について、病者が不在地主にならない保障に反す…
あてはめ
農地買収処分は買収令書の交付によって行われるものであるから、上告人が令書を受領した日が「処分の日」となる。したがって、その取消訴訟の期間は受領日から2ヶ月以内に制限される。また、農地の売渡処分は本来、買受人に対するものであり旧地主を相手方とするものではないから、旧地主への通知が欠けていても当然であり、出訴期間は処分の日から進行する。本件では、いずれの処分も昭和25年2月17日以前に行われており、提訴時には既に2ヶ月の期間を経過していた。
結論
本件各処分の取消請求は、いずれも出訴期間を経過した後に提起されたものであり、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
行政事件訴訟法第14条の出訴期間の起算点に関する基礎的な判断枠組みを示す。特に「処分の相手方」と「第三者」に対する告知の要否および期間制限の考え方を整理する際の実務上の参照点となる。
事件番号: 昭和24(オ)14 / 裁判年月日: 昭和24年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟における出訴期間の起算点に関し、処分の有効・無効は原則として影響せず、処分があったことを知った日から期間が進行する。また、たとえ処分自体に違法の疑いがあっても、法定の不服申立期間を経過した後の提訴は不適法である。 第1 事案の概要:上告人らは、自作農創設特別措置法に基づく被上告委…
事件番号: 昭和25(オ)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しを求める訴えが、出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである場合、当該処分に無効原因があるとの主張が含まれていても、裁判所は処分の当否について実体的な判断を加える必要はない。 第1 事案の概要:上告人所有の農地に対し、農地委員会および県知事が農地買収計画および買収処分を行った…