判旨
行政処分の取消訴訟において出訴期間が経過している場合、訴えは不適法として却下されるべきであり、裁判所は処分の当否について実体判断を行うことはできない。
問題の所在(論点)
行政処分の取消しを求める訴えにおいて、出訴期間を徒過していることが明らかな場合、裁判所は処分の実体的な違法性(当否)について判断すべきか。
規範
行政事件訴訟法(本判決当時は旧法下)の定める出訴期間の遵守は訴訟要件であり、これを見逃して本案審理を行うことは許されない。期間徒過が認められる場合には、訴えを不適法として却下すべきである。
重要事実
原告(上告人)らは、被告が行った買収処分の当否を争って本訴を提起した。しかし、第一審は本訴が出訴期間を守っていない不適法なものであるとして訴えを却下し、控訴審もこれを正当として控訴を棄却した。原告らは、処分の当否について判断しなかったことが不当であるとして上告した。
あてはめ
原審において、本件訴えが出訴期間を守らない不適法なものであると認定されている以上、訴訟要件を欠いていることは明らかである。訴訟要件を欠く場合、裁判所は本案について審理・判断する権限を有しないため、処分の当否について判断を加えないことは法的に当然の帰結である。
結論
出訴期間を徒過した不適法な訴えについては、本案の当否を判断することなく却下すべきである。したがって、処分の当否を判断しなかった原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
行政訴訟における訴訟要件(特に出訴期間)の厳格な適用を示す。答案上では、取消訴訟の要件検討において出訴期間の徒過が認められる場合、本案(処分の違法性)について論じる必要はなく、門前払い(却下判決)となることを説明する根拠となる。
事件番号: 昭和25(オ)287 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する取消訴訟において、出訴期間の規定は公法上の法律関係を早期に確定させるための強行規定であり、処分の実体的な違法性の有無や行政庁による訴訟提起の要請にかかわらず適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分について、病者が不在地主にならない保障に反す…
事件番号: 昭和25(オ)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しを求める訴えが、出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである場合、当該処分に無効原因があるとの主張が含まれていても、裁判所は処分の当否について実体的な判断を加える必要はない。 第1 事案の概要:上告人所有の農地に対し、農地委員会および県知事が農地買収計画および買収処分を行った…
事件番号: 昭和35(オ)526 / 裁判年月日: 昭和36年5月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟において、処分庁は処分の適法性を基礎付ける法律要件について主張立証責任を負うが、相手方が争わない事項についてまで主張立証を尽くす必要はない。また、一審・原審において主張しなかった新たな事実関係に基づく違法事由を、上告審で主張することは許されない。 第1 事案の概要:上告人(所有者…
事件番号: 昭和25(オ)73 / 裁判年月日: 昭和25年10月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴願期間の経過に関し、旧訴願法8条3項にいう「宥恕スベキ事由」の有無の判断は、行政庁の自由裁量に属するものではなく、裁判所が審理判断し得る事項である。 第1 事案の概要:上告人は、農地買収計画に対して異議および訴願を経た後に出訴したが、原審はその訴願が期間経過後になされた不適法なものであると判断し…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。