判旨
訴願期間の経過に関し、旧訴願法8条3項にいう「宥恕スベキ事由」の有無の判断は、行政庁の自由裁量に属するものではなく、裁判所が審理判断し得る事項である。
問題の所在(論点)
行政不服申立て(訴願)の期間経過に関し、期間徒過を正当化する「宥恕スベキ事由」の有無が裁判所の審理判断権限に属するか、それとも行政庁の自由裁量に属するか。
規範
行政不服申立ての期間制限に関し、法定の期間を過ぎた後に申立てを可能とする「宥恕すべき事由(正当な理由)」の存否は、行政庁の裁量判断に委ねられるものではなく、客観的な事由の有無として裁判所が審理判断の対象とすべき法的な問題である。
重要事実
上告人は、農地買収計画に対して異議および訴願を経た後に出訴したが、原審はその訴願が期間経過後になされた不適法なものであると判断した。上告人は、訴願期間の経過について旧訴願法8条3項に定める「宥恕スベキ事由」があるにもかかわらず、原審がこれを十分に審理していないと主張して上告した。
あてはめ
一審は行政庁の自由裁量であるとしたが、原審は裁判所が審理判断し得る事項であるとの立場を採った。原審は、上告人が主張する事由を検討した上で、客観的にみて宥恕すべき事由が存在しないことを相当な理由をもって説明しており、審理不尽の違法はない。このように、事由の有無自体は裁判所が判断すべき事項であり、本件においてはその判断過程に誤りは認められない。
結論
宥恕すべき事由の有無は裁判所が審理判断できる。本件では当該事由が認められないとした原審の判断は相当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政不服審査法における不服申立期間の「正当な理由」の有無についても、本判例と同様に裁判所の審理対象になると解される。答案上は、期間徒過を伴う行政訴訟において、先行する不服申立ての適法性が争点となる際の判断権限の所在を示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しを求める訴えが、出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである場合、当該処分に無効原因があるとの主張が含まれていても、裁判所は処分の当否について実体的な判断を加える必要はない。 第1 事案の概要:上告人所有の農地に対し、農地委員会および県知事が農地買収計画および買収処分を行った…
事件番号: 昭和25(オ)287 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する取消訴訟において、出訴期間の規定は公法上の法律関係を早期に確定させるための強行規定であり、処分の実体的な違法性の有無や行政庁による訴訟提起の要請にかかわらず適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分について、病者が不在地主にならない保障に反す…
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
事件番号: 昭和25(オ)101 / 裁判年月日: 昭和25年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告適法の理由とならない上告理由は棄却されるべきであり、原審が適法に行った証拠の取捨選択および事実認定を非難するにとどまる主張は採用できない。 第1 事案の概要:上告人は、原審の認定した事実を不服として上告を提起した。上告人は別紙記載(判決文からは詳細不明)の上告理由を提示し、原審が挙示した証拠に…