農地買収計画に関する訴願裁決書の謄本交付前に農地買収令書が交付されても、右訴願裁決の取消を求める訴の出訴期間は、裁決書謄本の交付された日から計算すべきである。
農地買収計画に関する訴願裁決書の謄本交付前に買収令書が交付された場合における右訴願裁決の取消を求める訴の出訴期間の起算日
自作農創設特別措置法7条,自作農創設特別措置法9条,自作農創設特別措置法47条の2
判旨
行政処分に対する取消訴訟の出訴期間の起算点について、買収令書のような書面の交付を要する処分においては、当該書面が相手方に交付された時を起算点とすべきである。
問題の所在(論点)
行政処分(農地買収処分)に対する出訴期間の起算点について、買収令書の交付を受けた時と解すべきか、あるいはそれ以前の時点と解すべきか。
規範
行政処分に関する出訴期間は、原則として処分があったことを知った日から起算されるが、法令上、令書の交付が処分の成立や効力発生の要件とされている場合には、当該令書が相手方に交付された時を起算点とするのが相当である。
重要事実
自作農創設特別措置法に基づき、行政庁が本件土地に対して農地買収処分を行った。これに対し、被上告人(処分を受けた者)が買収処分の取消しを求めて出訴したが、その出訴期間の起算点がいつであるか(処分の決定時か、令書の交付時か)が争点となった。
事件番号: 昭和38(オ)1403 / 裁判年月日: 昭和39年4月9日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法による農地買収処分に対する取消訴訟の出訴期間は、同法第九条による買収令書の交付のあつた日から起算すべきである。
あてはめ
本件における買収手続においては、買収令書の交付が予定されている。原審が認定した事実によれば、被上告人が買収令書の交付を受けた時点を基準として出訴期間を計算すべきであり、これに反する上告人の主張は独自の適法な根拠を欠く。本件土地が農地法上の農地に該当しないという原審の事実認定も正当であり、手続的にも令書交付時を起算点と認めるのが妥当である。
結論
本件の出訴期間は、被上告人が買収令書の交付を受けた時から起算すべきであり、当該期間内に提起された訴えは適法である。
実務上の射程
処分が書面の交付によって行われる場合、その交付時が「処分があったことを知った日」の確実な基準となることを示した。取消訴訟の提起期間を検討する際、処分の成立要件としての通知・送達の有無を確認する重要性を示唆している。
事件番号: 昭和25(オ)18 / 裁判年月日: 昭和27年4月25日 / 結論: 棄却
訴願裁決書の謄本が郵便により配達された以上、特段の事情のないかぎり、右謄本の配達を受けた日に右裁決のあつたことを知つたものと認めるべく、行政処分および訴願裁決の取消または変更を求める訴の出訴期間は、その日から起算すべきである。