訴願書に訴願人の住所でない場所を住所と記載して訴願を提起した場合は、住所と記載された場所の居住者に訴願裁決書の受領を委任した趣旨と解すべく、右居住者が訴願裁決書を受領したときは、その日から出訴期間は進行する。
訴願書に訴願人の住所でない場所を住所と記載して訴願を提起した場合、右場所の居住者の訴願裁決書の受領と出訴期間
自作農創設特別措置法47条の2,行政事件訴訟特例法5条
判旨
行政処分の無効を主張する場合であっても、訴えの形式が取消訴訟である限り出訴期間の制限を受ける。また、訴願(審査請求)等で住所地として指定した場所に書類が送達された場合、受領権限を委ねたものとして出訴期間が進行する。
問題の所在(論点)
1. 行政処分の無効を理由に取消訴訟を提起する場合、出訴期間の制限を受けるか。2. 訴願手続等で指定した住所地の親族等に裁決書が送達された場合、出訴期間は進行するか。
規範
行政処分の取消しを求める訴えについては、仮に当該処分が当然無効といえるような重大かつ明白な違法を孕むものであったとしても、出訴期間の規定が適用される。また、出訴期間の起算点となる「処分を知った日」とは、必ずしも本人が現実に知ることを要せず、本人が書類の受領を委ねたといえる者に送達された時点をもって足りる。
重要事実
北海道に居住する上告人は、農地の買収計画に対する訴願(審査請求)に際し、住所として長男Dが居住する場所を記載して届け出た。訴願裁決書はDに送達されたが、上告人はDに訴訟提起の権限まで与えていないこと等を理由に、出訴期間経過後の提訴が適法であると主張した。また、本件買収処分の前提となる公告手続が違法であり処分は無効であるから、出訴期間の制限は受けないとも主張した。
あてはめ
上告人は自ら長男Dの住所を連絡先として届け出ており、少なくとも裁決書の受領についてはDに委ねたものと解するのが相当である。したがって、Dへの送達時をもって出訴期間は進行を開始する。仮に現実の知達を要するとすれば法的安定性が損なわれる。また、本件訴訟の趣旨が「買収処分の取消し」を求めるものである以上、実体上の瑕疵の程度(無効原因の有無)に関わらず、訴訟要件としての出訴期間の遵守は免れない。処分の適否は適法な訴えがなされた後に判断されるべき事柄である。
結論
本件訴えは、出訴期間経過後に提起された不適法なものとして却下されるべきである。上告棄却。
実務上の射程
行政事件訴訟法下においても、無効等確認の訴えではなく取消訴訟を選択する以上、出訴期間の制限を免れないとする原則を示す。答案上、処分の瑕疵が重大であっても、訴訟形式が取消訴訟であれば期間制限を厳格に適用する根拠として用いる。また、送達の効力と「知った日」の解釈においても参考となる。
事件番号: 昭和25(オ)231 / 裁判年月日: 昭和26年10月16日 / 結論: その他
一 第一審判決を取り消し差し戻した第二審判決に対しては、直ちに上告することができる。 二 農地買収計画に関する訴願裁決について訴願人が再審議陳情をなしこれに対し訴願裁決庁が「昭和二三年一一月二九日附兵庫県農委第四八六別裁定書について元訴願人Bより再審議陳情ありたるも、その理由認め難く前決定のとおり買収すべきものとするも…