一 第一審判決を取り消し差し戻した第二審判決に対しては、直ちに上告することができる。 二 農地買収計画に関する訴願裁決について訴願人が再審議陳情をなしこれに対し訴願裁決庁が「昭和二三年一一月二九日附兵庫県農委第四八六別裁定書について元訴願人Bより再審議陳情ありたるも、その理由認め難く前決定のとおり買収すべきものとするも、訴願人が昭和二二年原野として前所有者Dより収得せる所有権は農地調整法に違反せるものなるを以てその所有権移転登記を抹消し、前所有者より買収すべきものとする」と記載した文書を訴願人に送達した行為は行政処分とは認められない。 三 行政処分の取消又は変更を求める訴において、請求を変更し、あらたに行政処分の取消を求めることのできるのは、その行政処分についての出訴期間内でなければならない。
一 控訴審の取消差戻判決に対する上告の許否。 二 行政処分と認められない文書送達の一事例。 三 請求の変更と出訴期間。
民訴法393条,民訴法232条,民訴法235条,行政事件訴訟特例法1条,行政事件訴訟特別法5条
判旨
行政庁の通知が単なる見解の表明や将来の手段の予告にとどまり、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する法律上の効果を伴わない場合は、行政処分に当たらない。また、出訴期間経過後に訴えを変更して新たな処分の取消しを求めることは、請求の基礎に変更がない場合であっても認められない。
問題の所在(論点)
1. 再審議陳情に対し「前決定どおり買収する」旨等を回答した通知は、抗告訴訟の対象となる「行政処分」に当たるか。2. 最初の訴えの提起によって、出訴期間経過後になされた訴の変更(別の処分の取消請求の追加)に係る出訴期間が遵守されたとみなされるか。
規範
行政事件訴訟法上の「処分」とは、行政庁の法律判断の表示であって、それによって直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。単なる見解の表示や、将来の手段を予告的に通知するに過ぎないものは、法律上の効果を伴わないため、処分に当たらない。また、行政処分の取消訴訟において、出訴期間経過後に請求を変更して別の処分の取消しを求めることは、出訴期間の制限を潜脱することになるため許されない。
重要事実
農地委員会が農地の買収計画を定め、これに対する訴願棄却裁決がなされた。被上告人は再審議を陳情したが、県知事は「前決定どおり買収する」とした上で、登記抹消や前所有者からの買収方針を記載した文書(本件決定)を通知した。被上告人は本件決定の取消しを求めて提訴し、第一審の係属中、出訴期間経過後に買収計画および訴願裁決の取消しを求める「訴の変更」を申し立てた。
あてはめ
1. 本件通知は「前決定のとおり買収する」と述べるにとどまり、既存の裁決を変更するものではない。後段の登記抹消等の記載も、それによって直ちに登記が抹消される等の法律効果が生じるわけではなく、単なる見解の表明や手段の予告にすぎない。したがって、法律効果の伴わない単純な通知であり、処分性は認められない。 2. 行政処分の取消しを求めるには処分が特定されている必要があり、出訴期間経過後に新たな処分の取消しを追加することは、たとえ請求の基礎に変更がなくても、期間制限を定める法の趣旨(行政法関係の早期安定)から許されない。本件では、最初の訴えにより出訴期間が維持される余地はない。
結論
本件通知は行政処分に当たらず、また買収計画等の取消しを求める訴えは出訴期間を徒過しており不適法である。
実務上の射程
処分性の定義(公権力の行使)において「法律的効果の有無」を判定する際のリーディングケース。また、訴の変更と出訴期間の関係について、特段の事情がない限り期間遵守の効力は及ばないとする実務上の原則を示す。処分性の肯定例・否定例を整理する際の基礎知識として重要。
事件番号: 昭和25(オ)366 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の撤回は、相手方の同意があるか、自白が真実に反し且つ錯誤に基づく証明がなされた場合に限られる。また、訴願前置主義が適用される場合であっても、他の者が適法に不服申立てを経ていれば、共同原告が自ら不服申立てをしていなくても出訴は適法となる。 第1 事案の概要:農地委員会が土地買収計画を策定…