昭和二二年法律第二四一号による自作農創設特別措置法改正前に牧野を未墾地として定めた買収計画に基き、右改正後、牧野を買収することは違法である。
昭和二二年法律第二四一号による自作農創設特別措置法改正前に牧野につき定められた未墾地買収計画に基く、右改正後の牧野買収の適否
自作農創設特別措置法30条1項本文1号(昭和22年法律241号による改正前のものと改正後のもの),自作農創設特別措置法40の2第1項
判旨
行政処分が複数の段階的な手続を経て行われる場合、最終的な処分の時点で根拠法の改正があったならば、先行する手続が旧法下で適法であっても、最終処分は新法の定めに従わなければならない。
問題の所在(論点)
先行する行政手続(買収計画)の後に根拠法が改正された場合、適法な先行手続に基づき旧法に従ってなされた最終処分(買収処分)の違法性は、どの時点の法令を基準に判断されるか。
規範
買収計画は、国が土地の所有権を取得するための段階的な一連の手続の一部に過ぎない。したがって、買収処分によって所有権が移転する以前に法律の改正により対象物の定義や買収要件が変更された場合には、先行する買収計画が策定時点で適法であったとしても、変更後の新法に適合しない買収処分を行うことは許されない。
重要事実
岩手県農地委員会は、昭和22年7月に自作農創設特別措置法に基づき、本件土地(牧野)を「未墾地」として買収する計画を立て、同年12月初旬に承認を得た。しかし、同年12月26日の法改正により、牧野は未墾地とは区別され、牧野として個別の要件で買収することが定められた。その後、岩手県知事は昭和23年2月、旧来の計画に基づき本件土地を「未墾地」として買収処分したため、上告人がその取り消しを求めた。
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
あてはめ
本件土地は実態として「牧野」であり、旧法下では「未墾地」に含まれていたため、旧法に基づく買収計画自体は適法であった。しかし、最終的な買収処分の前に施行された改正法は、牧野を未墾地から分離し、独自の買収要件を設けた。行政処分は、その効力が生じる時点での法令に適合している必要がある。本件では、既に法改正によって牧野を未墾地として扱うことができなくなっていた以上、適法な計画が存在したからといって、改正法を無視して未墾地として買収処分を行うことは法律の解釈適用を誤ったものといえる。
結論
本件買収処分は、処分時の法令である改正法に適合しないため違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
行政手続が多段階にわたる場合、原則として処分時の法令が適用される(処分時法の原則)ことを示した判例。先行行為によって法的地位が固定されるわけではなく、最終的な権利変動を生じさせる処分時点での適合性が問われる。答案では、手続中の法改正があった際の判断基準として引用できる。
事件番号: 昭和25(オ)368 / 裁判年月日: 昭和28年4月17日 / 結論: 棄却
小作農の応召のため農地の一時転貸を受けた昭和二〇年一一月二三日当時の小作人に対し、右転貸人の親戚の者で転貸人から耕作権を譲り受けた者は、いわゆる遡及買収農地の売渡を受けるについて優先するものではない。
事件番号: 昭和27(オ)855 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条第五号により「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」として指定されていない農地であつても、右の場合に該当するときは、これを買収することは違法である。