自作農創設特別措置法第五条に違反した買収計画にもとずいて買収処分が行われたときは、所有農地を買収された者は、買収計画に対する不服を申し立てる権利を失つた後も、買収処分取消の訴において買収計画の違法を攻撃することができる。
買収計画に対する不服申立の権利を失つた後の買収処分取消訴訟において買収計画の違法を攻撃することの当否
自作農創設特別措置法5条,自作農創設特別措置法6条1項,自作農創設特別措置法7条
判旨
先行行為である買収計画に瑕疵がある場合、当該計画に確定的効力が生じた後であっても、後続の買収処分の取消訴訟においてその違法を主張することができる。買収計画の確定的効力は内容の違法までを治癒するものではなく、同一の目的を達成するための一連の手続過程において先行行為の違法は後続行為に承継される。
問題の所在(論点)
先行する行政処分(買収計画)について不服申立期間を徒過してその取消しを争えなくなった場合、後続の行政処分(買収処分)の取消訴訟において、先行処分の違法を理由として後続処分の取消しを求めることができるか(違法の承継の成否)。
規範
行政処分が複数の段階を経て行われる場合、先行する処分(買収計画)の違法は、後続の処分(買収処分)の取消訴訟においても攻撃材料とすることができる。先行行為に対して異議申立や出訴期間の徒過により取消請求権を失ったとしても、それは先行行為自体の確定的効力にすぎず、その内容に存する違法性が後続行為の違法性を構成することを妨げない。特に、先行行為が後続行為の前提条件であり、両者が同一の行政目的を達成するために不可分に関係している場合には、先行行為の瑕疵は後続行為に承継される。
重要事実
村農地委員会は、自作農創設特別措置法に基づき被告人の所有地について買収計画を立てた。被告人は、当該農地が同法5条6号の買収除外事由に該当すると主張して異議申立および訴願を行ったが、いずれも却下された。被告人は訴願裁決に対して出訴期間内に訴えを提起しなかったため、買収計画は確定した。その後、県知事が当該計画に基づき買収令書を交付して買収処分を行ったため、被告人は買収処分の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
本件農地は法5条6号により買収を免れるべき性質のものであり、これを含めた買収計画は違法である。この違法は買収計画と買収処分に共通するものである。買収計画に対する異議手続等の規定は、行政庁への是正機会付与と権利保護の簡便な途を開いたにすぎず、同手続をとらなかったからといって買収処分の取消訴訟での攻撃を禁止する趣旨ではない。買収計画に生じる確定的効力は、内容の違法を治癒する効力を持つものではない。したがって、都道府県農地委員会や知事が違法な計画を是正せずに買収処分を行った以上、当該処分もまた違法といえる。
結論
買収計画の違法を理由として買収処分の取消しを求めることは認められる。本件買収処分は違法であり、その取消請求は正当である。
実務上の射程
「違法の承継」を認めたリーディングケースである。答案上は、①先行行為と後続行為が結合して一つの法的効果を目指していること、②先行行為を争う機会が十分に保障されていたとはいえない(又は先行行為の段階で争わせることが過酷である)等の事情を考慮して、本判例をベースに承継の可否を論じる。本判決は、先行行為の確定的効力が「内容の違法の欠如」までを確定させるものではないとする論理構成をとる。
事件番号: 昭和38(オ)1022 / 裁判年月日: 昭和40年5月25日 / 結論: 棄却
農地買収計画の樹立庁が、買収手続の進行状況その他事務の都合から、一たん買収計画中に定めた買収の時期のみを変更することは、許されないものではない。
事件番号: 昭和30(オ)980 / 裁判年月日: 昭和32年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】買収計画に対する不服申立期間を経過し不服申立権を喪失した後であっても、当該計画に基づく買収処分の取消訴訟において、前提となる買収計画の違法を主張して争うことができる。 第1 事案の概要:上告人(国)は、当初の買収令書に基づく買収処分を撤回し、新たな買収処分を実施した。これに対し被上告人(農地所有者…