判旨
裁判上の自白の撤回は、相手方の同意があるか、自白が真実に反し且つ錯誤に基づく証明がなされた場合に限られる。また、訴願前置主義が適用される場合であっても、他の者が適法に不服申立てを経ていれば、共同原告が自ら不服申立てをしていなくても出訴は適法となる。
問題の所在(論点)
1. 裁判上の自白の撤回の要件。2. 行政処分に関し、自らは不服申立ての手続を経ていない者が、手続を経た者と共同して訴えを提起した場合における訴願前置主義の充足性。
規範
1. 裁判上の自白は、相手方の同意がない限り、自白された事実が真実に反し、かつ、その自白が錯誤に基づいてなされたことが立証された場合でなければ、これを取り消すことができない。2. 行政処分に対する不服申立て(訴願)を前置すべき場合、行政庁に再考の機会を与え、処分の是正を期するという制度趣旨に鑑み、既に他の者が適法に不服申立てを経ていれば、同一の請求原因を主張する共同原告については自ら不服申立てをしていなくても出訴を認め、訴願前置主義の精神に反しないものと解する。
重要事実
農地委員会が土地買収計画を策定した事案。被告(上告人)である農地委員会等は、第一審において「土地は全部B1の所有に属する小作地である」との事実を認めたが、第二審において「一部は宅地であり別の者が賃借している」旨の事実を主張し、先の自白を事実上撤回しようとした。また、原告側はB1のみが適法な異議・訴願の手続を経ていたが、B2もB1と共同原告となって同一の請求原因により本件買収計画の取消しを求めて出訴した。
あてはめ
1. 裁判上の自白の撤回について、被告の第二審での主張は第一審の自白と抵触し、事実上の撤回にあたる。しかし、相手方の同意はなく、真実に反し錯誤に基づくことの立証も認められない。したがって、適法な撤回とはいえず、排斥される。2. 訴願前置について、B1が適法に異議・訴願を経て裁決を受けており、権限ある行政庁には再考の機会が十分に与えられている。B2が同一事由で不服を申し立てても是正の期待は困難である以上、B1と共同原告となり同一の請求原因で本訴に参加することは、訴願前置主義の精神に背反しない。
結論
1. 自白の撤回は認められない。2. B2が自ら不服申立てを経ていなくても、適法な手続を経たB1との共同出訴は適法である。
実務上の射程
自白の撤回要件は民事訴訟法上の基本原則として定着している。訴願前置の例外については、行政事件訴訟法等における不服申立て前置の要否を検討する際、処分の同一性と行政庁への再考機会の有無を判断基準とする行政法上の射程を有する。
事件番号: 昭和34(オ)46 / 裁判年月日: 昭和35年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の所有権移転に関する調停や和解が成立した場合であっても、農地法上の許可等がない限り、当然に所有権移転の効力が生じるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、債務の弁済期経過に伴い本件農地を債権者Eに代物弁済する合意をしていた。その後、上告人とEの間で、一度Eに移転した所有権を再び上告人に戻す…