判旨
上告理由が原審の事実認定を攻撃するもの、または原審において主張しない事実を前提とするものである場合には、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
民事訴訟法における適法な上告理由の範囲。特に、原審の事実認定に対する不服申し立てや、上告審で初めて提出された新事実に基く主張が、上告理由として認められるか。
規範
上告審は法律審であり、原則として原判決が確定した事実に拘束される。したがって、単なる事実誤認の主張や、原審で主張されなかった新たな事実に基づく主張は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人は、原審(控訴審)の判決に対し、事実認定の不当性等を理由として上告を提起した。しかし、その主張内容は原審の事実認定自体を攻撃するもの、あるいは原審の審理過程で一度も現れなかった新たな事実を前提とするものであった。
あてはめ
本件の上告理由は、原審が確定した事実関係を否認する趣旨の主張であるか、または原審の口頭弁論終結時までに提出されていなかった事実を前提とするものである。これは法律審としての職分を超えるものであり、民事訴訟法上の適法な上告理由に該当しないと評価される。
結論
本件上告は棄却される。
実務上の射程
上告理由書の作成実務において、事実関係の争い(事実誤認)をいくら強調しても、それが憲法違反や重大な訴訟手続の違反、あるいは判例違反等に昇華されない限り、形式的に棄却されるリスクが高いことを示している。
事件番号: 昭和27(オ)274 / 裁判年月日: 昭和32年9月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、第一審または原審(事実審)で主張・判断されなかった事項を新たに主張することは、適法な上告理由とは認められない。また、当事者間に争いがないものとして確定した事実は、上告審での判断の基礎となる。 第1 事案の概要:上告人は、農地買収処分に関する訴訟において、原審で主張していなかった事項…