判旨
農地の買収不適格性を理由とする憲法違反の主張は、実質的に単なる事実誤認の主張に過ぎない場合、上告理由としての適法性を欠く。
問題の所在(論点)
農地の買収において、対象地が買収不適格地であるとする主張が、民事上告特例法上の適法な上告理由(憲法違反または法令解釈の重要事項)に該当するか。
規範
「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」にいう「法令の解釈に関する重要な主張」や憲法違反の主張が含まれるといえるためには、単なる事実認定の不当性や買収不適格地の主張に止まらず、法的な解釈論としての実質を備えている必要がある。
重要事実
上告人は、本件農地の耕作が粗放ではないにもかかわらず買収されたことは不当であると主張した。また、本件農地が買収不適格地であるにもかかわらず買収されたことは憲法に違反する旨を主張し、上告を申し立てた。
あてはめ
原判決は耕作が粗放であることのみを理由に買収を正当としたわけではない。上告人の主張は、本件農地が買収不適格地であるという事実認識の相違を強調するものであり、憲法違反を名目としているが、その実体は単なる事実関係の争いに過ぎない。したがって、民事上告特例法1号ないし3号のいずれにも該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まれていないと解される。
結論
本件上告は適法な上告理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
具体的な行政処分(農地買収)の妥当性を争う際に、単なる事実誤認を憲法違反や法令解釈の誤りに「名を借りて」主張しても、上告審での審判対象にはならないという実務上の限界を示すものである。
事件番号: 昭和31(オ)26 / 裁判年月日: 昭和33年6月20日 / 結論: 棄却
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