判旨
上告審において、第一審または原審(事実審)で主張・判断されなかった事項を新たに主張することは、適法な上告理由とは認められない。また、当事者間に争いがないものとして確定した事実は、上告審での判断の基礎となる。
問題の所在(論点)
事実審で主張・判断されなかった事項や、当事者間に争いがないとして確定した事実を、上告審において新たに争うことができるか。
規範
上告審は事後審であり、原則として原審で主張・判断されていない新たな事項を上告理由とすることはできない。また、事実審において当事者間に争いがないものとして確定された事実は、特段の事情がない限り、上告審を拘束する。
重要事実
上告人は、農地買収処分に関する訴訟において、原審で主張していなかった事項(甲第1号証に関連する出訴権の行使不能や、買収処分と無関係な土地に関する主張、および買収計画の決定時期等)を上告理由として主張した。しかし、原審ではこれらについて争われておらず、買収計画の日付については争いのない事実として確定していた。
あてはめ
上告人が主張する証拠(甲第1号証)は原審で採用されておらず、仮にそれが存在しても出訴権行使を妨げるものではない。また、買収処分と無関係な土地の主張や、原審で判断のない事項の主張は、いずれも適法な上告理由に当たらない。さらに、買収計画の日付については、原審が「当事者間に争いなきこと」として確定した事実であり、これを上告審で覆すことはできない。
結論
本件上告は棄却される。原審で主張・判断のない事項や、争いのない事実として確定した事項を上告審で新たに争うことは認められない。
実務上の射程
民事訴訟法における上告審の性質(事後審・法律審)を端的に示すものである。実務上、事実認定に関する不服や、事実審で提出し得た攻撃防御方法の懈怠は、上告審では救済されないという原則を確認する際に引用される。
事件番号: 昭和31(オ)26 / 裁判年月日: 昭和33年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原審の事実認定を攻撃するもの、または原審において主張しない事実を前提とするものである場合には、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審(控訴審)の判決に対し、事実認定の不当性等を理由として上告を提起した。しかし、その主張内容は原審の事実認定自体を攻撃するもの、ある…