判旨
行政庁による「承認」が、国民の権利義務を直接的に形成し、またはその範囲を確定する効果を有しない場合には、行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる行政処分には該当しない。
問題の所在(論点)
行政庁による「承認」行為が、行政事件訴訟法上の取消訴訟の対象となる「行政処分」に該当するか。その判断基準が問題となる。
規範
取消訴訟の対象となる「処分」(行政事件訴訟法3条2項)とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。具体的には、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものを指す。
重要事実
上告人は、行政庁が行った特定の「承認」について、その違法を理由に取消訴訟を提起した。しかし、当該承認行為が国民の具体的な権利義務に対してどのような法的影響を及ぼす性質のものであったか、具体的な事案の内容や根拠法令の詳細は本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁は、先行する判例(昭和27年3月6日判決)を引用し、本件で問題となった承認が取消訴訟の対象となる行政処分には当たらないと判示している。これは、当該承認が行政内部的な行為にとどまるか、あるいは単なる事実上の効果をもたらすに過ぎず、国民の法的地位を直接左右する「公権力の行使」としての法的成熟性を欠いていると評価されたためと解される。
結論
本件における承認は行政処分に該当しないため、これに対する取消訴訟は不適法である。
実務上の射程
行政庁の行為のうち「承認」や「通知」といった形式をとるものは、それが行政組織内部の意思決定に過ぎない場合や、私人の権利義務を直接形成しない場合には処分性が否定される。答案上では、処分性の定義(権利義務の直接形成性・範囲確定性)を述べた上で、問題の行為によって「誰の」「どのような権利」が「直接」制限されるのかという視点から、本判決の法理を適用して処分性の有無を検討すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)290 / 裁判年月日: 昭和28年7月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁相互間の行為にすぎず、国民の権利義務に直接関係しない行為については、行政訴訟の対象となる処分性を欠く。県農地委員会による市地区農地委員会の農地売渡計画承認の取消しは、当該農地の売渡を受けた者の権利義務に直接関係せず、訴訟を提起し得ない。 第1 事案の概要:D県農地委員会は、七尾市E地区農地委…