1 大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関する情報が記録されているものは,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,5号及び9条1号のいずれにも該当しない。 2 大阪府知事が昭和60年1月ないし3月に支出した交際費に係る公文書で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているもののうち,生花料,供花料,しきみ料又は会費に関する情報が記録されている歳出額現金出納簿中の部分及び領収書は,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,5号及び9条1号のいずれにも該当しないが,個人に対する出版祝い,退官祝い,当選祝いに係る祝金,国会議員主催の会合に対する祝金,政界関係者の後援会,懇談会に対する祝金,団体に対する周年祝いの祝金,せん別,賛助金又は援助金に関する情報が記録されている歳出額現金出納簿中の部分及び支出証明書又は領収書は同条例8条5号に該当し,香料又は見舞いに関する情報が記録されている歳出額現金出納簿中の部分及び支出証明書又は領収書は同条例9条1号に該当し,懇談会に関する情報が記録されている現金出納簿中の部分及び請求書兼領収書は同条例8条4号又は5号に該当する。 3 大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)10条は,同条例8条各号又は9条各号のいずれかの非公開事由に該当する独立した一体的な情報を更に細分化し,その一部を非公開とし,その余の部分には非公開事由に該当する情報は記録されていないものとみなしてこれを公開することまでをも実施機関に義務付けているものではなく,実施機関において当該情報を細分化することなく一体として非公開決定をしたときに,裁判所は,当該非公開決定の取消訴訟において,実施機関がこのような態様の部分公開をすべきであることを理由として当該非公開決定の一部を取り消すことはできない。 4 大阪府知事が昭和60年1月ないし3月に支出した交際費に係る歳出額現金出納簿は,各交際費の支出ごとにその関係記載部分が当該交際費に係る知事の交際に関する独立した一体的な情報を成し,また,上記交際費に係る支出証明書,領収書及び請求書兼領収書は,各交際費の支出ごとにこれに対応する支出証明書等に記録された情報が当該交際費に係る知事の交際に関する独立した一体的な情報を成し,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)10条に基づき当該独立した一体的な情報を更に細分化してその一部のみを非公開としてその余の部分を公開すべきものとすることはできず,同条例8条4号,5号又は9条1号に該当する情報が記録されている上記歳出額現金出納簿中の部分並びに支出証明書,領収書及び請求書兼領収書のうち交際の相手方に関する記載部分を除いた部分を公開すべきであるとしてこれらの公文書の非公開決定のうち当該部分を非公開とした部分を取り消した原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法がある。 (3,4につき補足意見がある。)
1 大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関する情報が記録されているものの大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,5号,9条1号該当性 2 大阪府知事の交際費に係る公文書で交際の相手方が識別され得る情報が記録されているものの一部が大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,5号及び9条1号のいずれにも該当しないが他の一部は同条例8条4号,5号又は9条1号に該当するとされた事例 3 大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)所定の非公開事由に該当する独立した一体的な情報を同条例10条に基づき更に細分化しその一部のみを非公開としその余の部分を公開すべきものとすることの可否 4 大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)所定の非公開事由があるとして実施機関が全部を非公開と決定した大阪府知事の交際費に係る公文書のうち交際の相手方記載部分を除いた部分は同条例10条に基づき公開すべきであるとして同決定を一部取り消した原審の判断に違法があるとされた事例
大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条4号,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)8条5号,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)9条1号,大阪府公文書公開等条例(昭和59年大阪府条例第2号)10条
判旨
知事交際費の情報は、相手方が識別され得る場合、原則として非公開事由に該当するが、不特定の者に知られ得る状態でなされた交際については例外的に公開すべきである。また、公文書の一部公開義務を定める規定は、非公開事由に該当する一体的な情報を細分化して一部を公開することまでを義務付けるものではない。
問題の所在(論点)
1. 知事交際費に係る情報が、公文書公開条例上の非公開事由(事務執行への支障、個人情報の保護)に該当するか。 2. 相手方識別部分のみを黒塗りにして公開する「部分公開」が、条例上義務付けられるか。
規範
1. 交際事務が「事務の適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれ」(本件条例8条4号、5号)や「一般に他人に知られたくないと望むことが正当な個人情報」(同9条1号)に該当するかは、交際の相手方や内容が不特定の者に知られ得る状態でなされたか否かにより判断する。 2. 「相手方の氏名等が外部に公表、披露されることがもともと予定されているもの」とは、交際の場所・内容・態様等から、相手方及び内容が不特定の者に知られ得る性質のものを指す。 3. 部分公開(同10条)の義務は、非公開事由に該当する独立した一体的な情報をさらに細分化し、特定の個人を識別する部分のみを除外して公開することまでを強制するものではない。
重要事実
大阪府知事が支出した交際費(祝金、供花料、香料、懇談会費、賛助金等)に関し、その執行内容を記録した公文書(歳出額現金出納簿、領収書等)の公開が請求された。大阪府知事は、相手方の氏名等が記録されていることを理由に、本件各文書を非公開とする処分を行った。これに対し、請求者側が処分の取消しを求めて提訴した事案である。
あてはめ
1. 慶弔等のうち、生花・供花・しきみ料は、葬儀等で知事名が掲示され不特定の者に知られることが予定されているため、非公開事由に該当しない。一方、個人的な祝金、香料、見舞金、懇談会費等は、具体的な金額まで不特定多数に知られる予定はなく、公開により信頼関係の毀損や事務執行の支障を招くため、原則として非公開事由に該当する。 2. 会費については、知事の所属が公知であり金額も一律であるため、非公開事由に該当しない。 3. 部分公開について、出納簿や領収書に記載された支出年月日、摘要、金額等の記載は、全体として「知事の交際」という一体的な情報を構成する。条例の文言上、この一体的な情報をさらに細分化して一部を公開する義務までは導き出せない。
結論
生花料、供花料、しきみ料、会費に関する情報の非公開決定は取り消されるべきであるが、その他の祝金、香料、懇談会費、賛助金等について、相手方を識別できる文書を全部非公開とした処分は適法である。
実務上の射程
知事交際費の公開範囲に関するリーディングケース。情報公開法6条2項のような「みなし規定」がない条例下では、個人識別部分を除いた部分開示が裁量に委ねられ、義務ではないとする解釈指針を示す。答案上は、非公開事由の検討において「公表の予定」という規範を用いるべきである。
事件番号: 平成13(行ヒ)83 / 裁判年月日: 平成15年10月28日 / 結論: その他
1 知事の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方である個人が識別され得る情報のうち交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものは,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号ロにより同号の情報に当たらない。 2 知事の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方が識…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成9(行ツ)55 / 裁判年月日: 平成14年2月28日 / 結論: その他
市長の交際費に係る公文書に記録されている交際の相手方が識別され得る情報のうち,訪問の際の手土産代,懇談会の経費,各種あいさつ状の経費その他の接遇費に係るものについて,実施機関に接遇費の具体的な類型を明らかにさせて,相手方の氏名等を公表することによって市長の交際事務の公正又は円滑な運営に支障が生じるおそれ等があるとは認め…
事件番号: 平成16(行ヒ)117 / 裁判年月日: 平成18年7月13日 / 結論: その他
府が個人から取得した事業用地の取得価格,府の土地開発公社が個人から取得し又は個人に譲渡した事業用地の代替地の取得価格及び譲渡価格並びに上記公社の土地評価審査会が上記代替地の評価額を答申した際の評価答申額等に関する情報は,(1)府における事業用地の取得価格は,地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の…